どんなクリニックでも
院長一人で治療することは無いので
スタッフ採用をしますよね。
スタッフと一言で言っても
勤務医のドクターや歯科衛生士
受付、歯科助手と様々な職種を
雇用します。
もちろん、勤務医はいないクリニックや
歯科助手はおらず、歯科衛生士だけの
医院もありますね。
スタッフを雇用しようと思うと
求人サイトや情報誌に掲載したり
衛生士専門学校に斡旋求人を
出したり
勤務医であれば、周囲の人に声をかけて
紹介してもらったりと
色々な方法があります。
では、実際に求人をかけて
採用するにあたり
大事なことはなんでしょうか?
それは、
『妥協しすぎない。』
と言う事です。
これは、ものすごく重要です。
どうしても、人がいないと
一日でも早く人員を確保したくて
妥協して人を採用したりします。
確かに人が少ないのは、問題なので
早く人を入れたい気持ちは分かります。
スタッフが足りないと
日々の診療にも影響が出ますし
本当に大変ですよね。
洗い場に手が回らなくて
滅菌作業するのも一苦労。
洗い場だけでも良いから
誰か、してくれる人がいれば・・・
なんて状況ありますよね。
また、求人の広告費をかけたから
誰か採用しないことには
もったいないと思う精神も
分かります。
歯科衛生士の求人をかけたけど
応募してきたのは一名だけ。
本当は、自分が今求めている
人物像ではないけれど
他に応募もないし
この一人を採用しないと
今回の求人広告料数万円が無駄になってしまう・・・
わかります!その気持ち!!
しかし、その『妥協』した気持ちで
採用をしてしまうと
後々、必ず後悔することになります。
採用に大切なのは
本当にその人が自分のクリニックで
成果を出してくれるかです。
猫の手でも借りたいほど忙しい時や
人手が本当に足りていない時は
其の場凌ぎでも良いから
誰か雇いたいと焦ってしまいます。
その焦りが
『自分のクリニックで
成果を出してくれる人材であるかどうか?』
と言う大事なポイントに
目を向けることを邪魔します。
しかし、どれだけ人手が足りなくても
広告料が勿体無いと思っても
このポイントはしっかり見るようにして下さい。
そうしないと、採用したは良かったが
結局、すぐに辞められてしまったり
思うような成果を出されずに
人件費の無駄だと感じてしまう結果に
なってしまうなんてこともあります。
一度、採用してからスタッフを
解雇することは非常に難しく
問題になってしまいます。
したがって、採用するからには
「こんなはずじゃなかった」
と後悔しないように
採用前にきちんと考えて下さい。
自分のクリニックで成果を出してくれるか?
それは勿論、すぐには無理でも
しっかり教えて行けば
伸びる人材なのか
そうでないのかを
見極める必要があります。
求人募集をかけて、面接をして
採用というのが一般的な流れですよね。
その中で、その人を見ることが出来るのは
面接時です。
しかし、たかだか数十分の面接だけで
人を判断するのは
すごく難しいことです。
でも、その短い時間の中でも
『この人はちょっと・・・』
と思うことがあると思います。
そんな風に違和感を感じているけれど
人がいないからと言う理由で
採用してしまう・・・
というのは止めましょう。
ほとんどの場合
面接時点で思った危惧は実際に
表面化してきます。
知人の歯科医でも
妥協して失敗してしまったと嘆く人が
何人かいました。
例えば、ある歯科医は
オープニングスタッフの募集をかけたところ
常勤の衛生士と助手・受付は
オープンより前に決まっていて
立ち上げ準備から
一丸となって頑張っていました。
どちらも、元々の知り合いで
絶大な信頼を寄せていたので
この2人に対しては
なんの心配もありません。
しかし、常勤の2人だけでは
常勤が休みをとることも出来ないので
他に助手2名と衛生士1名を非常勤で
募集します。
応募してきた人は、
助手は数名いましたが衛生士は1人だけ。
全員面接し、助手は数名のうち
「この人達なら、頑張ってくれそう!」
と言う2人を採用しました。
そのうち1人は、40代手前で
歯科業界が全くの初めての
未経験者でした。
他の応募者は助手の経験者ばかり。
それでも、この未経験者を選んだのは
長い目で見ると
彼女は必ず医院のために
成果を出してくれそうと思ったからです。
そして、この直感は大当たりすることになります。
オープニングメンバーの常勤2人と
非常勤メンバーは10年近くも働いて
医院のためにとても貢献してくれて
成果も出してくれたのです。
しかし、その一方で一人しか
応募してこなかった衛生士はと言うと
面接時から
「この人はちょっと・・・」
と思うところがありました。
しかし、他に衛生士が応募がなかった為
時期的なこともあり
不安はありながらも
他のメンバーがしっかりしているし
一人くらい…と思って妥協し
採用しました。
結果、やはり彼女はその後
医院の負担になってしまいました。
仕事ができない
年齢は一番高くキャリアもあるはずなのに
実践すると、衛生士業務は勿論
助手の仕事さえ、ままならない。
それなのに、未経験の助手には
偉そうな態度で接する。
などなど・・・
完全なるトラブルメーカーでした。
この医院は、他のメンバーが医院のために
貢献してくれるスタッフ達なことに加え
良い人が集まっていたので
大きなトラブルになることなく
業務に支障をきたしそうな場合は
うまくフォローしてくれていました。
しかし、いくら上手くフォローを
してくれていたとしても
それは他のスタッフにとっても
医院にとっても
本来なら要らない業務であり
負担になっていたことは確かです。
その一人のスタッフのフォローを
するための労力を他の業務に回せれば
更に、医院は効率良く回るはずなのですから。
結局、この医院では、この非常勤の衛生士が
衛生士側の都合により辞めることになりました。
丁度、解雇しようかと
悩んでいたところだったので
院長は安心したと言います。
確かに、一度雇用した以上、
それをこちら側の勝手な都合で
解雇することは、非常に難しいものです。
採用は、簡単にできますが
合わないからと言って
解雇することは、とても難しいのです。
ゆえに、歯科医院のスタッフ採用する時は
「この人しか応募してこなかったし」
「すぐにでも、来て欲しいから
この人でいっか」
「面接を何人もするのも面倒だし」
などと言う理由で、採用を決めること
は絶対にやめた方が良いです。
あなたの医院の求める人材を
しっかりと見極めて採用しましょう。
それは、スキル的なものでは
完全に求める条件に一致する人は
なかなかいないかもしれませんが
根本的なこととして、求める人材に
「将来的に」なってくれるか?
と言うことを考えてみて下さい。
いくら、面接時にスキルが高くても
医院の力になってくれるかは別だと思います。
もちろん、スキルがあると即戦力
にはなってくれますが
その先に、長く勤めることを考えると
即戦力よりも、どれだけ医院の力に
なってくれるかの方が
大事になります。
長期的に良い医院を作りたいなら
妥協しすぎない事が大切です。
伊勢海 信宏
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