今回は結果が出にくい考え方
「サンクコスト」についてお伝えします。
早速ですが、
『サンクコスト』と言う言葉を
聞いた事はあるでしょうか？
日本語では「埋没費用」と言います。
皆さん、自分が求める結果に対して
投資をすると思います。
この投資とはお金の運用などだけを
指すのではなく
例えば、インプラントを
上手く出来るようになりたいと思って
それについて本を読む。
セミナーに行く。
何かを向上させたくて
本を読んだり
人と会ったりする。
など、いろいろとありますが
このように勉強なども投資になります。
勿論、これはセミナーに行く費用も
投資ですが
それに費やしている時間も投資になります。
このように、時間やお金をかけて
望む結果に繋げようとします。
更には、人間は1回投資をすると
そのことに対して
どうしても結果を出さなくてはいけない
と思います。
ゆえに、結果が出るまでは
投資をやめられないと言う事が起こります。
もしくは、それまでに投資した分が
途中で終えては勿体ないから
絶対に最後までやり切る
と言う気持ちになる事もあります。
そして、結果が出なかった場合
それまでに投資した
回収できない費用や時間や労力が
サンクコストです。
わかり易く言うと
例えば、何か自分が得たい
情報がある時や
こう言う風になりたいと
思うものがある時
それに関する本を買います。
具体例を挙げれば
スタッフマネジメントを
学びたいと思い
２千円する本を買うとします。
この本は読了するには
３時間程かかるものです。
そして、この本を３０分程読んだところで
「文章も難しく、分かりづらい。
面白くないし、自分の求めていた
感じの本じゃない」
と気づきます。
しかし、人間はこの時点で
気づいたとしても
この本に２千円、投資した事と
既に３０分は時間を投資した事で
「元を取りたい」と言う気持ちになります。
自分の求めている
内容ではないと気づいていても
そこまでの金銭的、または時間的
に投資しているから
少しでも、その本から何かを得て
成果を出したい
と考えます。
勿論、成果を出すために
本を読了する事は重要なことではあります。
しかし、これがサンクコストになってしまいます。
ここで、一旦よく考えて頂きたいのは
この２千円で購入した本を
あと２時間半かけて読み終える事が
更に「時間の無駄」にならないか？
と言う事です。
自分が望む結果のために
お金や時間、労力をかけて行動する事は
いろいろとあると思います。
しかし、その全ての行動に
結果がついてくる
と言う保証は全くありません。
ここで、お金や時間、労力を
かけていても、自分が
「何かイマイチ。
行動しても微妙かもしれない。
これで結果が出るのか」
と疑問を感じた時には
「やめる」決断をする事が
とても重要です。
只、実際には
「やめる」決断をすることが
とても難しいです。
これは、何も仕事の話だけではなく
私生活でも同じです。
例えば、映画を観るとします。
映画を観始め、開始から１５分経って
「つまらない・・・」と思いつつ
更に３０分、１時間と経過して
「全然面白くない。
やばいやつ観ちゃったな・・・」
と思いながらも、あと作品時間は
まだ１時間残っています。
こんな時、多くの人は
「でも、あと１時間もあるし
ここから、どんでん返しがあるかも」
と期待を持ちながら最後まで鑑賞します。
もしかすると、本当に最後の最後で
面白くなる映画もありますが
最後まで観ても
どんでん返しもなく
本当につまらない映画と言う事も
あります。
ここで大切な事は
映画を観始めて
「つまらない。やばいな、この映画」
と思った時点で観るのを終えることです。
映画館に支払った１８００円は
無駄になって良いんです。
観るのを終えることで
最後の１時間が浮きます。
支払ったお金が戻ってこない事は
当然ですが、これを観続けていたら
更に１時間も無駄に
浪費してしまうことになります。
自分の人生の時間は有限です。
クリニックの経営でも同じことが
言えます。
何か戦略をして、行動を起こし始めても
「これは、あまり結果が出ない。微妙だな」
と思ったら
やめる事です。
微妙だと気づきながらも
続けていくことで
スタッフは頑張っているのに
結果が出ずに
スタッフを疲弊させてしまう事にもなります。
始めた事を辞めると言うのは
勿体ないと思ってしまいがちです。
しかし、途中でも微妙と感じたら
「やめる」と言う決断をする事は
リーダとしての勇気が必要です。
全ての人が行動をしたら
結果に結びつき成功すると言う事はありません。
勇気ある撤退も
非常に大事だと思います。
私も、いろいろなシステムなどを
作ったりしています。
そして、過去に
「これ良いな。社会的にも役に立つ」
と思うシステムを作ろうとしました。
そのシステムを作るためには
約４００万円かかる予定でしたが
会議を重ね、作り始めました。
しかし、ある時にそのシステムについて
考えていたら
作ろうとしているシステム自体は
良いものだけど
既に顧客を持っている他業種が
参入してきたら
確実にそちらに顧客は奪られて
無理だと言うことに気づきました。
そこで、私はそのシステム開発を
辞める決断をしました。
しかし、その時でも
既に４０〜５０万円は
投資している状態でした。
時間も投資をしていました。
それでも、そのシステム開発を
最後まで続けて行ったとしたら
最終的には約４００万円は必要になる。
加えて、時間も浪費する。
そして、上手くいかないと言うリスクも抱える。
と言うことを考えると
それ以上、傷口を広げない決断に
至ったのです。
そして、私自身この決断が
すごく重要だと思います。
院長と言う立場は
クリニックの方向性を決める
船頭のようなものです。
行動を起こしていると
「せっかく行動してるし、まぁ何とかなるだろう」
と言う気持ちが芽生えてしまいますが
この「何とななるだろう精神」は
希望的観測でしかない事が圧倒的に多いです。
自分がお金を掛けていれば
掛けているだけ
何とかなって欲しい！と言う
願望が込みの場合も多いです。
したがって、そのような時には
一旦冷静になって希望的観測ではなく
願望も抜きにして
「やめる」と言う決断をすべきか？
を考えて下さい。
私は開業医向けの経営の塾なども
開講しています。
そして、講義の際に受講生の方から
悩み相談も聞いたりしているのですが
その時にその悩みに対して
先生はどういう対策をとられているか？
も合わせて聞いています。
そこで、対策を聞いていると
正直、私はそれは無駄だと思う対策を
してしまっている方が少なくありません。
悩みを抱えている先生は
その対策をすることで
望む結果が出ると思って
されているとは思います。
しかし、私的な感覚でいくと
その対策では望む結果の5〜１０%しか
結果が出なさそうと思っています。
ゆえに、その場でその対策よりも
効果的な方法を、自分の経験などを
踏まえてお伝えするようにしています。
その際に、
「今のやり方を辞めて
こっちの方法にした方が
絶対に結果が出ますよ」
とはお伝えしても
それを本当に辞めるか辞めないかは
強制では、当然ないので
その先生の自由です。
しかし、これまでにも
実際に同じように
アドバイスをさせて頂いた先生で
私が「辞めた方が良い」
と言うことに対して
即座にサッパリと
「じゃあ、辞めます！」と言って
辞めた先生が、お伝えした通りの
方法を実践したところ
それまで、伸び悩んでいた
子供のメンテナンスがとても増えました。
メンテナンスが増えたこと
だけではなくて
子供の紹介患者さんが増えたり
保護者の方の予防に対する意識が
すごく高まって
予防ケアのグッズも
すごく売れていると言うことでした。
当然、予防でグッズを売ることが
目的なのではありませんが
保護者の方が子供の歯の健康を
守ると言う意識が高まったお陰で
メンテナンスや物販が
数字的にも上がったと言うことです。
人は行動を起こしだすと
最後までやらなくてはいけないと言う
固定概念を持ってしまいがちです。
しかし、本当は最後まで
猪突猛進にやるよりも
途中で一度、冷静になって
立ち止まる事が大事です。
やり切ることが凄いことだ！
と思い込んでしまっている先生も
少なくはありませんが
微妙だと気づいているのに
最後まで続けてしまうことは
無駄になってしまいます。
ダメだと気づいた時点で辞める事は
重要な決断です。
もちろん、すぐに辞めてしまう
諦めてしまうという癖をつけるのはいけません。
もし、行動を起こし
途中で辞める理由が
「面倒くさいから」
だとしたら、それは良くありません。
しかし、そのような理由ではなく
効果が見られないと分かったのならば
すぐに辞めるのも１つの手だと思います。
私自身もですが
サンクコストに捕われやすいので
是非、一旦立ち止まって考える事が重要です。
自分のしている事は
本当に結果が出るのか？
望んでいる結果が出るのか？
と言うことを、よく考えて
もし微妙そうならば
思い切って違うことを
学んでみたり
結果を出している人に
直接、教えてもらって
本当に効果の出る事を
やっていく方が早く結果も出せます。
また、悩みも早く無くすことが出来ます。
辞める決断は難しいですが
無駄な時間や労力を使わないため
そして、望む結果を早く出せるために
勇気を出して決断しましょう。
伊勢海 信宏
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