10万円でインプラントや
3万円でセラミッククラウン
と言うような治療をしている
クリニックが、たまにあります。
医療的にどの様なレベルなのかは
分かりません。
しかし、同じ歯科医師として
しっかりやっているのだとは信じたいです。
とは言え、世の中には
そこに需要があるので
それを提供していると言う事実は
変わらないと思います。
ただ、これから開業する先生で
自費の治療費の値段をどうするかを
考えている先生にお伝えしたいのですが
自費の値段を安くして
値段をウリに患者さんを多く
集めたいのであれば
自費の価格設定は
とことん安くしてください。
これは中途半端が一番まずいです。
やるなら、とことんです!
では、どれくらい思い切る必要が
あるかと言うと・・・
例えば周囲のクリニックよりも
インプラントやセラミックの治療費を
10~20%下げても
あまり治療を受ける患者さん数に
大幅な変化はありません。
具体的な数字にすると周囲の
クリニックが1本40万円で
インプラントをしているのに対して
32万円にしたくらいでは
患者さんの反応は
こちらが期待する程ではないのです。
これが1本10万円だったら
患者さんの食いつきも違いますし
集患にもなるでしょう。
でも、1本10万円は原価率的にも
無理がある。
頑張って32万円に設定している。
と言うこの状況が、一番危険なのです。
なぜなら、この2割程度安くしている
価格設定は
原価率は周囲のクリニックと
変わらないはずなので
利益率は大幅に減ります。
集患のためにと思って無理して
ギリギリでやっているのに
大した集患にもならない。
そして、それでもインプラントの
治療が入れば入るだけ利益率が低いので
自分で自分の首を絞めることになってしまう。
それでは、自費が安いと言う
ウリにもならないし
非常に中途半端なクリニックに
なってしまいますよね。
もし、自費を安くして
患者さん数を増やしたいと思うならば
それこそ激安にしてください。
誰が見ても『安!』って思える金額が
重要です。
『安いのかな~?』
くらいの値段設定は
一番効果がありません。
そんなに安くできないなら
中途半端な安さは止めた方が良いです。
自費治療の価格設定を
何となくで考えている先生がいますが
すごく重要なことなので
しっかり考えてみてください。
前回
『自費や歯科医院選択基準は
価格や条件か?価値か?』
(http://haisyakaigyo.com/?p=1248)
でも、お話しましたが
価格は一度設定すると
下げるのは簡単でも
上げること(値上げ)は
非常に難しくなります。
そして、値上げすることで
既存の患者さんが離れてしまうと言う
可能性も出てきます。
例えば、価格に大きな違いはありますが
マクドナルドを想像してみて下さい。
マクドナルドと言えば
低価格が売りの
ハンバーガーショップの代表格ですよね。
ハンバーガーショップと言えば
モスバーガーやロッテリアなど
数多くありますが、その中でも
安価で食べられることが魅力の一つです。
マクドナルドは2000年に
130円で販売していたハンバーガーを
平日限定で65円と言う驚異的な
安さで提供しだしました。
その宣伝効果は絶大で、多くの集客に
成功しました。
しかし、その時は円高だったので
65円でも利益を確保できていましたが
その後、円安が進むにつれて
コストが高くなってしまい
65円で販売することが難しくなり
期間限定だった65円での販売を終了します。
と言っても、元の130円に
戻したのではなく80円にしました。
すると、それまで安さに魅力を感じて
来店していたお客さん達が
一気に離れていってしまいました。
80円でも十分に安いはずなのに
お客さんは、なぜ離れてしまったのか?
それは、お客さんにハンバーガーが
65円という感覚が定着してしまったからです。
マクドナルドのハンバーガーは
65円で食べられると思っている中で
80円に値上げされると
「今まで、65円で食べてたのに
80円出さないといけないなんて・・・」
と言う気持ちになります。
また、マクドナルド=安い
と言うブランドイメージが
定着したことにより
安さを最優先に求めるお客さんが
多くなった為、値上げしたことにより
魅力がないと感じられ
離れていってしまったこともあるでしょう。
これは、歯科医院も同じです。
安さをウリにすると言うことは
安さが無くなると
患者さんに魅力を
感じてもらえなくなると言うことです。
クオリティよりも価格最優先という
気持ちの患者さんばかりが増えたら
どうでしょうか?
そういう患者さんは、それこそ
激安インプラントや
激安セラミッククラウンをしている
歯科医院に行くでしょうが
周囲の歯科医院より
少し安めに価格設定をしていても
価格優先の患者さんは
来院されると思います。
そして、そんな患者さんが増えると
利益率が上がらなくなって
値上げをした時に
一気に患者さんが
離れていってしまう恐れがあります。
それは、歯科医院ブランドイメージが
治療のクオリティなどではなく
「安さ」であるからです。
安さが魅力のクリニックが
値上げなんてしたら
魅力がゼロになります。
一度ついたイメージを変えることは
とても難しいです。
自費の価格設定を安易に考えると
後から、とても大変な思いをすることに
なるかもしれませんので
きちんと考えて価格を決めるようにしましょう。
伊勢海 信宏
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