治療で使っている金属には
どんな種類があるのか知っていますか?
普段、私たち歯科医は
虫歯治療をする際
虫歯を除去して形成し、
充填、もしくは補綴物を装着しますね。
しかし、補綴物の場合は、
形成し型取りしたら
技工士さんが補綴物を作ってくれるので
それを、調整して装着となります。
技工士さんが作ってくれた補綴物を
形態・咬合などの確認はすると思いますが
何で出来ているかまで確認することは
あまり、ありませんよね。
でも、その補綴を作るために
使用される金属には
いろんな種類があります。
『銀歯』って何で出来てるの?と聞かれたら・・
歯科医で補綴物のことを
『銀歯』と言うことは少ないと思いますが
患者さんは詰め物も被せ物も
ひっくるめて『銀歯』と呼ばれる
ことが多いですよね。
そこで、たまに患者さんに
「銀歯って、純銀なんですか?」
と聞かれて
「純銀ではないですが・・・」
と、アタフタとなっている先生がいます。
患者さんも、質問して
しっかり答えてもらえないと
「この先生は、何で出来ているか
分からないものを
患者の口に入れてるんだ」
と思い不安になります。
もちろん金属の種類を知っている
先生も多いと思いますが
若い先生などで金属の種類を
知らない場合は
ぜひ覚えると良いと思います。
そして、なんとなくは
知っているけど説明までは・・・
と思われる方も
今一度、確認してみましょう。
種類を知らずに
作ってもらったものを
装着するだけという治療よりも
しっかり材質の違いを知った上で
治療することは大切だと思います。
4つの種類の金属
では、以下の4つの材質を
説明していきますね。
①金パラ
②プレシャスメタル
③セミプレシャスメタル
④ノンプレシャスメタル
①金パラ
12%金銀パラジウム合金
保険適応の治療で一番多く
使われている金属です。
これは名前の通り金を12%含有
そしてパラジウムが20%
銀が50%位
銅や、その他を含みますが
この比率はメーカーによって
多少異なります。
(金12%とパラジウム20%は
メーカーが違っても
同一規格となりますので
前後するのは銀とその他です。)
銀色が、装着後、経年劣化として
黒ずんでくる場合があります。
金パラについては銀が50%程度
含まれているという事を
覚えておくと良いと思います。
②プレシャスメタル
プレシャスと呼ばれたりもしますが
これは金が75%以上(18カラット)
含まれている合金です。
硬さも歯と同じぐらいの強度が
あります。
フレームとして使われたりします。
色は金色をしています。
銀色のものより、目立ちにくい
と言う利点もあります。
こちらは①金パラのように
口腔内で変色することはありません。
保険適応では、使えない材料です。
③セミプレシャスメタル
これは金が50%以下(12カラット)
の合金です。
色は銀色をしています。
プレシャスメタルと比べると
より硬くなります。
銀色ですが、変色はほとんどしません。
メタルボンドのフレームなどとして
使われることが多いです。
④ノンプレシャスメタル
これはコバルトクローム合金
ニッケルクローム合金などの事です。
とても強度の高い合金で、
色味は銀色をしています。
主に入れ歯のバネやフレームに
使われます。
こちらは、保険適応の補綴物に
使われることもあります。
また保険適応外ですが
メタルボンドのフレームや
金属床の入れ歯のフレームに
使用されることが多いです。
さて、簡単に説明しましたが
いろいろ種類がありますね。
4種類の金属は金の含有量が
大きな違いですね。
そして、それによって特性にも
違いがありますね。
4種類を見てみると
『銀』を多く含むほど
変色し易いこともわかると思います。
そして補足にはなりますが、
①金パラに含まれるパラジウムですが
歯科用金属材料としてのパラジウムは
毒性が弱いのですが、
金属アレルギーが出てしまう場合も
あります。
患者さんに合わせた金属を
このように、特性がわかっていれば
患者さんに合わせた金属を指定して
補綴物を技工士さんに作ってもらう
ことが出来ますよね。
技工士さんは、あくまで模型上でしか
患者さんを見ることができません。
実際の口腔内や
患者さんの要望や
悩みを見て知ることが出来るのは
ドクターだけなのです。
保険適応では金パラを
使用することになる歯でも
変色してしまうかも
しれないデメリットや
金属アレルギーを持っている患者さん
に事前に、可能性だけでも
お伝えすることが出来たら
保険適応外であったとしても
他の補綴物にされるかもしれません。
これは、保険治療より
自費治療の方が
医院にとって利益があるから
勧めると言うわけではありません。
こちら側からすると
当たり前と思っていることも
患者さんにとっては
知らない事、当たり前でない事は
たくさんあります。
特に、見た目に直結する
補綴物に関しては
患者さんも装着後に
「こんなに目立つの・・・・」
と言う事も少なくありません。
金属(補綴物)なくして
治療はできませんが
少しでも患者さんの負担が
減るようにするためには
患者さん自身に
納得してもらった上で
装着できることが大切です。
そのためには
事前にしっかりと患者さんに
使用される金属の種類や内容を
情報として伝えることができると
患者さんも、それを踏まえた上で
自ら選択し納得した上で
補綴物を装着することができます。
患者さんに、しっかり説明できるよう
にするためにも
金属の種類には
どんなものがあり
どんな利点・欠点があるのかを
知っておくことが大切です。
伊勢海 信宏
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