『鶴翼』と『魚鱗』
この言葉を聞いて
何のことか、すぐに分かる人
歴史好きですね!
一体、何語?そもそも読み方は?
歯科医開業バイブルを
読んでいるはずなのに、あれ??
となった方、ごめんなさい。
ちゃんと意味のあるお話なので
最後までお付き合いください。
鶴翼は「かくよく」
魚鱗は「ぎょりん」 と読みます。
どちらも軍の用語の一つです。
詳しく言うと、軍の陣形の事です。
そして、この2つは全く逆の陣形で
対義の意味です。
鶴翼の構えとは
鶴が翼を広げたように兵士を並べ
横に広く大きく配置し
敵をその中に取り込めるようとする陣形
魚鱗の構えとは
魚のうろこの形のように
中央を突出させ、人の字形にし
縦に長い感じで配置した陣形
と、説明だけでも
相反していることが明確です。
ところで、今回なぜ
陣形の構えの話をしているかと言うと
これは歯科医院のブランディングや
差別化の考え方と同じだからです。
そんなことある?と疑いを持った方…
私の考え方では
鶴翼の構えは
強者がどっしりと構えて
包み込む様な陣形であり
逆に、魚鱗の構えは
弱者が一点突破を狙う陣形です。
あなたのクリニックが
既に地域で実力も知名度もあるならば
鶴翼の構えでどっしりと
様々な治療をアピールしていってください。
逆にあなたのクリニックが
現状では、地域で実力も知名度も低いならば
何か一つの事に特化して
アピールしていくようにしてください。
魚鱗の構えであれば一点集中で
相手を連なって打破できます。
前者のように、既に鶴翼の構えを
出来るような実力のある医院であるならば
私からのアドバイスは今回は
特に必要がないかもしれません。
しかし、後者のような
魚鱗の構えが必要な
実力も知名度も
まだ十分でない医院であるならば
是非、アドバイスを聞いて下さい。
考え方一つ、戦法1つで
医院が成功するか否かは大きく変わります。
では、アドバイスを聞く前に
今自分の医院が鶴翼の構えが必要なのか?
それとも、魚鱗の構えが必要なのか?
を見定める必要があります。
自分の医院のブランディングは
確立していて、既に地域の人たちに
認められている!
と思うのであれば、間違いなく
鶴翼の構えで良いと思います。
しかし、開業して間もない時期は
この差別化やブランディングが
なかなか、自分の思うように
周囲に定着しないのが現実です。
最初から、何かに特化して
ウリにしようと思っても
それだけでは、集患できず
「とりあえずは、どんな人でも来て下さいね」
と言う姿勢で、開業しますよね。
患者さんが来ないことには
医院を経営していくことが
難しくなってしまうので
このように集患することが
悪いことではありません。
しかし、開業して時間が経っても
ずっと、「誰でも来てね」の状態を
続けてしまうことになると
それは、少し考えを変えて
戦法を変化させるべきでしょう。
ただ、「誰でも来てね」
「どんな治療でもします」
がウリのクリニックで
本当にそういうクリニックにしたいと思い
開業したのであれば
それは、問題ありません。
また、それで経営的に
上手くいっているのであれば
成功だと思います。
しかし、実際には
「本当は、こんな治療がしたいんだけど…」
「こんな患者さんに来院してもらって
患者さんと、こう言う関係性を
築きたいんだけど…」
と考えているのに、集患はできたけど
只々、バタバタと忙しくて
体制を立て直しできないまま。
「なんでも屋」の歯科医院になってしまって
後戻りできず、差別化やブランディングを
出来なくなってしまう先生も少なくありません。
自分が思い描いていたのは
どんな歯科医院だったでしょうか?
開業前に、それを考えた上で立地など
も検討したはずです。
開業して数年した先生が
よく陥ってしまうのが
ここで忙しさに流されて
何も考えずに、日々をこなし
進んでいってしまうことです。
開業して1年は、新しいことの連続で
スタッフも「オープニング」であることで
やる気も溢れています。
どんな患者さんが来ても
それは新しいことであり
それを院長やスタッフと
乗り越えることで達成感も味わえます。
しかし、数年もしてくると
目新しさはなくなって
それは日々のルーティンになります。
その中で、ビジョンや
明確なウリのあるクリニックであれば
その専門として
スキルを磨き続けようと思えます。
近所にある他のクリニックでは出来ない
自分のクリニックだからこその
強みがあれば
スタッフの仕事に対する
プライドも変わるのです。
しかし、もし院長が
それを明確にしないまま
望んでもいない状態の
「なんでも屋」で診療をしていたら
スタッフはどうでしょうか?
間違いなくスタッフの気持ちも
「ただ、給料をもらうためだけ」
に働いている状態になってしまいます。
そして、その心理は、知らぬ間に
態度に現れてしまい
患者さんにも
伝わってしまうのです。
こうなっては、悪循環です。
そうなってしまわないように
もしくは、既にそうなってしまっている
という方は、今から思い出してください。
開業前に自分が
思い描いていた歯科医院を。
忙しい、疲れた。を言い訳に
後回しにしないようにしましょう。
それを考えれば、きっと
ブランディングができるはずです。
せっかく開業したからには
自分のしたい治療
自分の目指す医院を
作り上げることが
院長として歯科医院を
経営していくことの楽しみであり
醍醐味でもあると思います。
もし、自分は鶴翼の構えか
魚鱗の構えをした方が良いのか
現状がわからないと言うならば
今、自分が開業前に思い描いていた
医院になっているか?
なんでも屋ではなく
何かに特化していて
それが地域の人にも
認められているか?
を客観的に見てみて下さい。
そして、まだ自分の医院は
周囲と差別化されていないと思うのであれば
差別化された医院を
目指してみましょう。
なんでも屋の歯科医院がだめ
と言っているわけでは、ありません。
しかし、長い目で見ると
何かに特化していないと
その医院は廃れていってしまう
可能性が大きいと言えるでしょう。
それは、なぜか?
なんでも屋の歯科医院は
たくさんあるからです。
そして、たくさんあるなら
その中で新しい医院に患者さんは
行ってしまうからです。
常に、設備や建物で最新を求めるのは
不可能ですよね。
お金がいくらあってもたりません。
それよりも、最新でなくても
「あなたの医院だから診てもらいたい」
「あの院長先生に、お願いしたい」
と思われる医院になる方が
ずっと、患者さんが来院してくれます。
何かこだわりを持って来院される
患者さんは、そう簡単に他院に
行ってしまうことはありません。
それよりも、自分の求めた医院、
信頼できる歯科医に診て欲しいからです。
そのためには、患者さんに
自分の医院の特色をよく知って
理解してもらうことが必要です。
そこを、理解し、周囲と差別化して
それに魅力を感じ来院される患者さんとは
長い付き合いになることが
出来るでしょう。
もし、今がなんでも屋さん状態に
なってしまっていると言うのであれば
一点に力を集中して
まずは、そこを地域の患者さんに
知ってもらう。
あの病院は○○が得意らしい。
と思ってもらう事です。
そこから、突破口を開いてください。
そして、知名度もまだまだ低い
と言うならば
何かに特化していると言う点で
周囲の歯科医院との差別化し
自分の医院をブランディングし
それを宣伝して
知名度を上げていきましょう。
せっかく大きな決断をして
開業したのですから
自分の好きな歯科医院にして
開業医であることを楽しみましょう。
伊勢海 信宏
【ステップで学びたい先生へ】
メルマガ登録されると
体系的に学べ、
理解や成長が早くなります。