今回は、
患者さんに伝える言葉について
考えていきたいと思います。
歯科では、患者さんに
いろいろな治療説明をします。
その中で、様々な言葉・単語を使いますよね。
では、「言葉選び」は意識しているでしょうか?
伝える言葉や単語によって
言葉を受け取る側が
どう言う印象を持つか
と言う部分は、大きく変わります。
例えば、インプラントのオペをしたとします。
オペも終盤になって
カバーキャップをかけて
ナートをする段階になりました。
患者さんに、もう少しで
オペが終わるので頑張って欲しい
と言う旨を声がけします。
この時、人によっては
「今、歯茎を縫っています。
もう少しで終わるので頑張って下さい。」
と言う人もいます。
ただ、私が同じように
患者さんに伝えるならば
確実に「縫っています」と
言う言葉は使いません。
言うとしたら
「歯茎を閉じていますので」と言います。
どちらも、している事は縫合で同じです。
患者さんに伝えたいことも同じです。
しかし、この言葉選びによって
患者さんの捉え方は確実に違います。
なぜなら、「縫っています」と言う
言葉を聞くと
人は「縫っている」事を
イメージしてしまいます。
患者さんは、目を閉じて
タオルを掛けられている状態で
「今、私の歯茎は糸と
針みたいなもので縫われているのかぁ。
医療系のドラマで見るようなやつかぁ・・・」
と想像してしまいます。
この想像を患者さんにさせてしまう事は
プラスには働きません。
オペをしているので
事実としてナートをしているのですが
伝え方1つで患者さんに
与えてしまう印象が
ガラリと変わってしまうのです。
その点を、しっかり考えて
患者さんに悪いイメージを
持たせない言葉選びをする事が
とても大切です。
こちらは、毎日していることだし
特に「怖いこと」だと言う認識もなく
淡々とこなしていることでも
患者さんには恐怖心を
抱かせてしまう事は
々あります。
先程のナート1つにしても
「縫っている」と言うのと
「閉じる」と言うのでは
イメージに直結するか否かに
大きな差が出ます。
出来るだけ、意識して直接的な
イメージと結びにくい言葉を選ぶ事で
患者さんの精神的な負担が
大きく変わります。
反対に、言葉は恐怖心や不安を
煽るだけではなく
言葉によって患者さんを
嬉しい気持ちに出来たり
楽しい気持ちに出来たりと
プラスに働かせることも可能になります。
したがって、患者さんに伝える
言葉選びは非常に重要です。
他にも、患者に直接伝える場合
ではなくても
スタッフに指示を出す時にも
何気なく言っている言葉で
患者さんの恐怖を煽って
しまっていることもあります。
例えば、治療で電気メスを
使う事がありますよね。
電気メスは毎回の治療では
使わないので
その都度、スタッフに
持ってきてもらう事が多いかと思います。
では、電気メスをスタッフに
持ってきてもらう時に
なんと言って、持ってきてもらいますか?
アシストの子に
「ちょっと今から
歯茎を切っていくから
電気メス持ってきて」
と言うように言ったとします。
これは確かに正しい説明ではあります。
スタッフに、これから何をするのか
きちんと伝えているし
持ってくることも明確に
スタッフさんに伝わります。
ただ、これを聞いた患者さんは
どう思うのでしょうか?
「今から電気メスと言う
何か怖そうなもので
自分の歯茎が切られるんだ・・・」
と思うでしょう。
もちろん、事前に患者さんに
どんな治療をするのかの
説明はしているはずです。
それに、スタッフに指示を出すのは
必要なことなので
指示を患者さんに
全く聞かれないようにする事は
難しいと思います。
しかし、だからと言って
フェイスタオルを掛けられて
視覚が閉ざされた状態で
余計に聴覚が敏感になっている患者さんに
「電気メス」と言う言葉のように
いかにも痛そうなものを想像させてしまう事は
間違いなく不安を煽ることになるでしょう。
そうなってしまわない様に
人によっては「電気メス」の事を
「電メス」と聞いただけでは
少し分かりづらい様に
言い換えるようにしている
先生もいます。
更に、「電メス」よりも
もっと患者さんに分かりづらくするために
クリニックの隠語を作って
伝えるのも良いです。
例えば、メスには10番や12番などの
番号の種類がありますよね。
そこで、メスの番号で
「20番」がないので
電気メスのことは「20番」と呼ぶように
スタッフと統一します。
そうすれば、電気メスを持ってくるように
スタッフに指示を出す場合でも
『20番持ってきて』
と言えば、スタッフだけは
それが電気メスのことと分かるため
患者さんには分かられずに
電気メスを用意することが可能になります。
患者さんに治療の説明を
事前にする必要は絶対にありますが
だからと言って、
器具の名前や単語で
患者さんに恐怖心を
持たせてしまう必要はありません。
出来るだけ、恐怖を与えないように
するように意識をすることは
とても重要です。
したがって、是非、衛生士、助手、
受付、ドクターとスタッフ皆で
ミーティングをして
「こう言う単語は、患者さんからしたら
怖いよね。」
「この言葉を使うと患者さんは
きっと不安になるよね。」
と言う単語や言葉を出し合い
それを少しずつでも、
患者さんを不安にさせない言葉に
変えていくことが
大切だと思います。
個々で思っているだけであったり
スタッフが皆で共通認識を
持てていないと意味がないので
スタッフ全員で
ミーティングの議題として
取り上げる様にする事が
お勧めです。
伊勢海 信宏
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