前回
『通いやすい歯科医院・
雰囲気の良い歯科医院をつくる。』
(http://haisyakaigyo.com/?p=854)
で、紹介や自費に影響する
細かいポイントの1つ目を
お伝えしましたが
今回は2つ目のポイントを
お伝えします。
これは若い先生がしてしまいがち
なのですが
『○○させてもらっても
よろしいですか?』
とお伺いをたてて話す話し方です。
前回のお話では
偉そうに感じられる態度を
とってはいけないとお話したので
今回のこの
「〇〇させてもらっても
よろしいですか?」
と言う聞き方は、患者さんに対して
全く偉そうではないので
一見、良い例なのかと思いますよね。
このような話し方をしている
ドクター本人は丁寧な対応だと思って
しているのだと思います。
しかし、これは
実際には丁寧と言う感じよりも
自分の立場を患者さんの下になる様な
お願い発言をしてしまっている
のです。
例えば
『今日は、前回の検査結果やお口の
中の状態などをお伝えしたいの
ですが、よろしいでしょうか?』
などと患者さんに言っていたと
します。
これを見て
何の違和感も持たなければ
自分も、このように話している
可能性があるので
危険信号です。
では、ここで何がいけないのか?
それは文末にある
『よろしいでしょうか?』
です。
お願いするのは基本だめです。
患者さんにお願いするのではなく
この様に言ってください。
『今日は、前回の検査結果や
お口の中の状態をお話しますね。』
こんな風に言うことで患者さんが
「このドクターは、
なんて偉そうな!」
と思うことは絶対にありませんよね。
と言うか
全く違和感のない話し方です。
確かに先ほどの
「よろしいでしょうか?」
があった方が、丁寧な対応を
しているように聞こえるかも
しれませんが
それは間違った丁寧の表現であり
本来の丁寧さではありません。
患者さんに
お伺いを立てれば、立てるほど
ドクターとしての威厳や魅力が
なくなります。
威厳というと、「先生様!」みたいな
イメージをする人がたまにいますが
それは、間違いです。
丁寧な対応をするのと
自分がへりくだるのは全く違います。
患者さんは、偉そうな歯科医は嫌
ですが、威厳のない歯科医も
信頼できません。
優しく丁寧なドクターを好みますが
優しくへりくだってばかりいる先生
に治療をお願いすることは
出来ません。
もし、自分が大怪我をして
手術をしないといけなくなったと
します。
歯科のことは知っているけれど、
外科の知識は専門外です。
そんな中、自分の担当医が
「骨折していますが
状況を説明させて頂いても
よろしいでしょうか?」
「骨折は放置して治りませんので
手術させて頂いでも
よろしいでしょうか?」
と言ってきたら、どう感じますか?
専門家なんだから、先生の専門知識を
生かした見解で、判断してよー。
こっちに判断仰ぐ聞き方って
もしかして治療に自信ないの?
って思ってしまいませんか?
私なら、そんな風に感じて
しまいます。
確かに患者さんの意思を尊重するのは
大事ですが、尊重する必要のない
ところまで、へりくだって
相手にお伺いばかり立てるのは
相手に対して、自分の自信の無さを
表しているように捉えられます。
患者さんは歯科知識はありません。
わからないし、自分では治せないから
治療に来ているのです。
その中で、専門家である歯科医から
的確な判断と処置を教えて欲しい
のです。
そして、それを自信を持って
教えてくれる人を信頼します。
わからないこと、知らないことに
遭遇した時は
誰でも不安になりますよね。
そこで、自信を持って
「これは、こうです!」
と言い切ってくれる人がいたら
それだけでとても心強く
安心感を感じます。
そして、そんな時に安心感を与えて
くれた人には、その後も、尊敬し
この人の言うことを聞けば
間違いない!と思うでしょう。
これが、威厳です。
治療がどれだけ上手でも
話し方のせいで威厳を失くして
信頼されないこともあります。
そして、自分が丁寧だと思っている
対応が、時に患者さんを苛立たせて
しまうこともあります。
実際に、誤った丁寧な話し方ばかり
していて、患者さんの逆鱗に触れた
ドクターもいました。
いつも丁寧すぎるほどの話し方で
患者さんに接していましたが
患者さんに
「で、先生はどうしたら良いと
思うの?」
と聞かれ
「それは、もう〇〇さんが
希望される方をさせて頂きます。」
と返答しました。
これが、保険治療か自費治療で
悩んでいるとかなら、まだしも
確実に治療が必要な歯について
治療をした方が良いのか、
しなくても良いのか?
と言う質問でした。
ドクターは患者さんに歯の現状を全て
きちんと説明していましたが
歯科知識がない患者さんにとっては
結局どっちなの?
と言う、白黒はっきりしない
やんわりした説明でした。
なので、患者さんは説明を聞いた上で
「結論は?」
と問われたのですが、ここで
また白黒はっきりしない返答を
してしまったために患者さんは激怒。
「専門家だから、
意見を聞いているんだろ!
人任せにして、
この後歯が悪くなっても
責任を取らないつもりだろ!
どうせ、他人の歯なんて
どうでも良いんだろ!」
と強く怒られていました。
このドクターは、治療技術はとても良い
ドクターだったので
対応さえしっかりしていれば
患者さんにとっても
とても素晴らしいドクターだっただろう
と思います。
丁寧さには、相手を思っての丁寧さ
ではなく、自分の保身のために
使われる誤った丁寧さがあります。
している本人は、それに気づいて
いなくても、患者さんの方は
敏感にそれを感じ取ります。
そんな保身の仕方をしていると
言うことは
自分の腕に自信がないのかな?
と不安を与えるばかりです。
少しの話し方のせいで
患者さんに不安を与えてしまい
自分の価値も落としてしまい
かねないので、話し方は
とても大切です。
普段の治療説明の時に
自分がどんな風に話しているかを
意識してみて下さい。
もしお願い発言が多ければ
今日から少なくするように
トライしてみ下さい。
伊勢海 信宏
【ステップで学びたい先生へ】
メルマガ登録されると
体系的に学べ、
理解や成長が早くなります。