患者さんに治療方針や
沢山の選択肢をしっかり丁寧にお伝えして
その中から、患者さん自身に
選択してもらうことが
一番良い方法だと思っていませんか?
確かに、治療の選択肢をたくさん伝えて
選んでもらうのも1つの手法です。
患者さんの症例によりますが
治療計画は何個も用意できる場合があります。
特に欠損が多い人や
自費も視野に入れると
いろいろ提案する事が多くなります。
沢山の治療計画を立て
患者さんに提案するものが多いと
歯科医として親切な気がしますが
実はそうではありません。
今まで患者さんに
自由な選択をしてもらおうと
沢山の治療計画を立て
選択肢を増やしてきた先生は
「えっ・・・・・」と
思われるでしょう。
なぜ、選択肢が多いことが
患者さんにとって親切ではないのか?
それには、こんな研究があります。
あるスーパーでジャムの試食販売をして
どの位が購買につながるかと言う研究です。
その方法は、 あるスーパーの店頭で
週末にジャムを24種類用意し並べて
試食を実施した時と
同じく週末に6種類のジャムだけ用意し
試食を実施した時の2パターンです。
いざ、実験を始めると
24種類のジャムが並んでいる時は
60%の人が足を止めて
試食をしました。
そして6種類のジャムの時は
40%の人しか試食をしませんでした。
これだけを見ると
24種類のジャムの方が
やはりお客さんは購入されるんだ!
と思いますよね。
しかし、この実験の面白いところは
ここからです。
60%の人が試食した
24種類並べていたジャムの試食販売時と
40%の人しか試食しなかった
6種類だけの試食販売。
試食した人は24種類の方が多いですが
試食後の購買率は、どうでしょうか?
24種類の場合は、試食した人の
3%しか購入しませんでした。
そして6種類の場合は
なんと試食した30%の人が購入しました。
100人で換算すると
24種類は
100×0.6×0.03
=約2人の購買
6種類の方は
100×0.4×0.3
=12人の購買です。
なんと結果は6倍も違います。
一見、24種類の方が
お客さんの食いつきは良いので
販売数にも影響を出しそうですが
結果は違いました。
試食だけして買わない人が
大勢います。
それに比べて、6種類の方は
試食する人自体は少ないけれど
試食した人が買う確率は高いです。
この結果からも
選択肢が多ければ良いと言う事ではないことが
分かります。
これは、患者さんも同じです。
治療提案が多すぎると
患者さんは結局、選べなくなってしまいます。
その結果、過去と同じ治療法か
無難な提案を選択したりします。
例えば、歯科治療ではありませんが
こんな経験はないでしょうか?
飲食店に行って、オススメのメニューが
とても沢山あり、最初は
「こんなにオススメがある!
どれにしようかな」
と、ワクワクするけれど
色々ありすぎて迷いに迷って
結局考えるのが面倒になって
その結果、いつもと同じメニュー
どこでも食べられるメニューを
注文してしまう。
他にも、服を買いに行き
店員さんが沢山のコーディネートを
提案してくれたものの
結局、今までにも買ったことのあるような
似たようなデザインの服を
購入してしまう。
多くの人が経験された事があると思います。
選択肢が多いことは
自由度が上がるので
良いことに感じますが
全ての選択肢を理解し
決断するのには労力を伴います。
飲食店や服屋でさえ、そうなのですから
専門知識が必要な歯科治療となると
患者さんの負担は余計に大きくなります。
私たち歯科医は、当然の事ながら
歯科の専門知識があるので
治療プランを選択するのは
そんなに難しい事ではないと思って
患者さんに提案しています。
自費が嫌なら、このパターン。
将来性を考えるなら、このパターン。
と言った感じで
選択肢を絞っていけるので
選択肢が多くても
その中から簡単に選択できるでしょ?
と思ってしまいますが
患者さんにとっては
そうではない事を
理解しておく必要があります。
数多くの選択肢は患者さんを
混乱させてしまったり
訳がわからなくなって
患者さんの本来の判断を
鈍らせてしまう可能性があります。
ゆえに、患者さんにとって
取捨選択し易く
分かり易い量の選択肢を
用意するようにしましょう。
もし、患者さんから
それ以上の選択肢を希望されたり
デンタルIQの高い患者さんで
しっかりと理解できるのであれば
多くの選択肢を提案するのも
良いかもしれませんが
まずは、より良い治療法を
数を絞って提案してみて下さい。
伊勢海 信宏
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