今回は、
まだしっかり成長しきっていないスタッフに
仕事を頼むときのポイントについて
お話したいと思います。
「しっかり成長しきっていない」
と言うのは、一人で考えて
仕事ができるレベルではないことです。
アシスト業務は一通り
できるようになっているけれど
まだその先の、自分で考えて
行動することにまで
気が回らない段階ってありますよね。
アシストが出来るようになったし
決まった治療の流れには
対応出来るようになっている段階なので
「よし、これでもう他の(出来る)
スタッフと同様に扱っても大丈夫」
と勘違いをしてしまい
結果、しっかりと成長しきっていない
スタッフが自信を失うことになったり
その他のスタッフの仕事が増えてしまう
また、自分自身のストレスにもなる..
なんて事があります。
ここで、注意しなければならないことは
成長しきっていないスタッフに対して
いかに、こちらが出来るように
誘導して行けるか? と言うことです。
では、誘導とはどう言うことかと言うと
それは仕事の依頼の仕方にポイントが
あります。
そう言うスタッフに、
仕事を依頼する際は気をつけるべき事
があります。
それは大きな仕事の依頼をしない
という事です。
また、漠然とした仕事の依頼をしない
という事です。
どういう事かと言うと
『患者さんを満足させる様な接遇を
して欲しいから考えてくれる?』
と言うと
スタッフはかなり混乱してしまいます。
何をしたら良いのだろうか?と。
そして、考え悩んだ結果、
ほとんど何もしない。
もしくは
あまり効果のないことを
やりだしてしまう。
と言う事態が起こってしまいます。
せっかく頼んだ仕事が
手付かずになって諦められていたら
不快ですよね。
また、後者のように
せっかく着手はしていても
それがどうにもトンチンカンな方向に
進められていると
「頑張ってくれているから
言いづらいけど、違うんだなぁ…」
と、お互い無駄な労力と時間を
費やす羽目になってしまいます。
でも、これは相手が悪いのではなくて
こちらの頼み方に問題があるのです。
では、この
『患者さんを満足させる様な接遇を
して欲しいから考えてくれる?』
の、一体どこが問題だったのか?
これは、依頼内容が抽象的すぎる
と言うのが問題点です。
仕事は抽象度が高いほど
難しくなります。
とは言え、自分の中では ある程度
こういった内容のものが
出来上がってくると思って
依頼していることが多いので
当然スタッフも
同じようなものがイメージ出来ている
と思いがちです。
ゆえに、このようにしてスタッフに
抽象的な内容を依頼してしまうのですが
相手がベテランスタッフや
阿吽の呼吸で診療を行えるような
スタッフであれば
それも通用しますが
まだ成長段階のスタッフであれば
これは至難の技です。
例えば、私たち歯科医で言うと
患者さんから
『歯の寿命を延ばして』
と言われるより
『この歯の虫歯を取って』
と言われる方が簡単ですよね。
「寿命を延ばして」だと
歯科医目線でいくと
虫歯の治療よりも先に
口腔内全体の状態を改善するために
歯周病治療から始めて
その後奥歯の補綴もやりかえて
噛み合わせを・・・
なんて治療の進め方になるかもしれません。
確かに、これで歯の寿命は
延びるでしょう。
しかし、これは患者さんが
思い描いていた望む治療だったでしょうか?
たぶん患者さんは
そんな全体的に大掛かりで
長期的な治療になるとは
考えておらず
今、自覚している虫歯の治療をして
綺麗にして欲しいと思っている
だけかもしれません。
この場合はスタッフの
仕事を依頼しても
「何もしない」
「あまり効果のないことを
やりだしてしまう」
とは、少し違いますが
患者さんからすると
自分の思っていることと
全然違うことを提案され
まさにトンチンカンな対応を
されていると思われるでしょう。
もちろん、この場合は
歯科医が悪いわけでも
患者さんの依頼の仕方が
悪いわけでもありませんが
抽象的な依頼を
しっかりくみ取る事の難しさは
分かってもらえたのでは
ないでしょうか?
抽象的な依頼をするよりも
より具体的に
狭い範囲で仕事を依頼する方が良いです。
冒頭の例のように
患者さんが満足する接遇を
望むのであれば
いきなり抽象的に言うのではなく
『患者さんをユニットに
お通しするときに
どのようにしたら
患者さんは満足するかな?
姿勢・表情・歩き方・声掛け
この項目で考えてみてくれる?』
と、細かく指示を出して
スタッフに言ってください。
これなら、何をどうして良いのか
分からないスタッフでも
一つずつの項目を考えていけば良い
だけなので
自分がすべき事や
求められている内容について
しっかり理解できるでしょう。
そうすれば、スタッフ自身が
仕事に取り組み易いだけでなく
依頼した自分も出来上がったものが
求めていた内容と全然違う!
なんて事もなくなります。
この様に具体的にして
範囲を狭める事で
スタッフはずっとアイディアを
出しやすくなります。
抽象度が高い仕事があったら
それを分解して
どう言った事を考えて欲しいのか?
自分の思い描いている
完成形になるようには
どのような項目が必要なのか?
などを提示して
スタッフにお願いしてみると
良いでしょう。
依頼の仕方、頼み方一つで
仕事の出来が大きく変わってきます。
そして、このように頼まれた仕事を
しっかりこなしていく内に
スタッフも仕事の意図を
汲めるようになり
抽象的な内容であっても
こちらが求めている結果を
出せるように成長していくでしょう。
でも、まずは成長段階のスタッフには
できるだけ細分化し
具体的な内容での仕事の依頼を
しましょう。
伊勢海 信宏
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