前回の
『院長の右腕に育てる〜その①〜』
(http://haisyakaigyo.com/?p=6727)
に引き続き、右腕の育て方について
お伝えしていきます。
院長の仕事は多岐に渡りありますが
やりたいことがあったり
追われている業務があって
その全てをやり切ることが
出来ていないと言う人が
とても多いです。
歯科医院の仕事はとても多いですが
だからと言って
大きな会社のように
社員で役割分担させて
仕事を分けられるかと言うと
そこまでの人員がいないと言うのが
現実です。
また、一番のメインの仕事は診療なので
その合間をぬってすべきことや
したい事をしようとなると
院長の時間もエネルギーも足りません。
これを解消するためには
院長の右腕となる人材を作ることが
とても大切です。
そして、前回はこの院長の右腕に
育てるステップについてお伝えしました。
おさらいになりますが
まずはスタッフが入社してきたら
クリニックでの業務を覚えてもらいます。
そして、それを出来るようになり
その「作業」のクオリティと
スピードを上げることが
出来るようにすることが第一段階。
次に、新しいスタッフや
若手スタッフをしっかりまとめ
分からないことなどがあれば
教えてあげることも出来るリーダーになれる
他のスタッフを管理することが
出来るようになることが第二段階です。
その次は、どのようにすれば
作業効率が上がるのか?
どうすれば、スタッフのやる気が上がるのか?
どのようにすれば、仕事を漏れなく
チェックすることが出来るのか?
など、色々な計画をたてていけるように
なることが第三段階です。
この「計画を立てる」ことの
できるスタッフがいれば
それを「管理できる」リーダーと
連携させることが出来ます。
これが出来れば
医院はとても良くなっていきます。
また、院長の手間も減らすことも出来ます。
では、作業できる→管理できる→計画を立てることが出来る
と言う第三段階までの
スタッフを育成できれば
院長の右腕になってもらえる!
と言うわけではありません。
確かに、この段階までの
スタッフがいてくれると
クリニックにとって
間違いなくプラスにはなります。
しかし、「院長の右腕」と呼ぶには
あと1ステップ上があります。
では、その第四段階のスタッフには
何が出来るのか?と言うと
「問題の抽出と問題解決をできる」です。
クリニックでは
院長はしなくてはいけないことが
膨大にありますよね。
その中で、クリニックを
良くするために
やらなければならない事もあります。
しかし、同時にそれを阻んでいる
問題があります。
この問題やクリニックの現状で
・良くない部分
・クリニックの仕事を大変にしている部分
・初診が来ない原因
など、いろいろな問題点を
見つけられることが1つ。
もう1つは、
この問題を、どのようにすれば
解決できるのか?
を考えて
いくつかの案を出せること。
この問題の抽出と問題解決の
2つをできる人が
院長の究極の右腕と言えます。
このスタッフを育成できれば
今は院長一人の仕事量が多すぎて
手をつけられていない仕事にも
着手することが可能になります。
院長の右腕になれるスタッフがいれば
院長は時間を確保することが出来ます。
なぜかと言うと
院長の右腕になるスタッフがいれば
院長は診療をしているだけで良いのです。
診療を行なっているだけでも
スタッフは問題を抽出できるので
その問題点を見つけ出し
解決策を考えます。
そして、その解決策を
「計画を立てる」ことの出来る
第三段階のスタッフへ伝えます。
これを受けた第三段階のスタッフは
解決策を元に、実際に出来る行動に落とし込みます。
落とし込んだ行動を第二段階の
「管理できる」スタッフに伝えると
スタッフは作業を行うスタッフが
しっかりとその通りの行動ができるように
指導したり指示を与えながら
管理します。
作業するスタッフは
これにきちんと従って
仕事を行うだけで良いのです。
このように、第四段階のスタッフがいて
尚且つ各々の段階のスタッフが
きちんと役割を果たすことが出来ていれば
基本的には院長は何もしなくても
医院は回るのです。
問題を抽出し
問題解決の案を提示できるスタッフ
と言うのが
究極の院長の右腕です。
このような人材は、一年ほどで
育つわけではありません。
長期的に育てる必要があります。
しかし、もし、その才能が
ありそうな人がいれば
是非育てていって欲しいと思います。
このようなスタッフがいれば
本当にクリニックの仕事が楽になります。
大袈裟ではなく
このようなスタッフがクリニックに
一人いるかいないかで
院長のストレスや労力の負担が
全く違ってきます。
また、この問題抽出して
問題解決できるスタッフが育つかどうか?
これは結論から言うと
スタッフ全員がなれると言う事はありません。
スタッフが10人いたとすれば
その内1人でもいれば良いかなと言う程度です。
なぜ、それだけ低い確率なのかと言うと
この人材になるためには
色々な要素が含まれているからです。
その中で1つ、性格的な要素があります。
全ての物事において
自分のことのように考え
それについてしっかり考察し
解決していきたいと思う気持ちの人が
稀にいます。
第四段階のスタッフの
スキルになるためには
基本的にこの気持ちがないと
ノウハウだけを教えても
なかなか、なってはくれません。
人間はそもそも
自分の人生の中の問題に対しても
問題抽出をして
問題解決をすると言うことが
出来ない人もいます。
自分の物事に対して、
これを出来ない人が
クリニックのことに対して
出来ることではないので
そのことを考えても
スタッフ全員、誰でも
右腕になる要素があるとは
言えません。
また、自分の物事に対しては
自分の人生が良くなるようにと考えて
行動することは出来るが
他人のことに関しては
そこまで出来ないと言う人がいます。
と言うか、
このタイプの人がほとんどで
クリニックの物事に対して出来る方が
本当に稀なのです。
例えば、自分自身に子供がいると
想定してみてください。
そうすると、自分の子の人生は
自分のことのように考えると思います。
どのような将来があるのかな?
この子の人生をより良くしてあげたいな。
この子は、こういう事は苦手だから
得意にしてあげられないかな。
逆に、これは得意だから
もっと伸ばしてあげたいな。
などなど、我が子の人生について
きっと色々考えますよね。
でも、隣の家のお子さんの
人生については、どうでしょうか?
お隣のお子さんの人生について
問題点を考えたり
解決策を考えることは
あるでしょうか?
きっと答えは、「ない」ですよね。
あの子はこういう所が良いとか
こういうところは良くないと言うことは
なんとなく感覚的に
思うことはあるかもしれません。
しかし、それを改善しよう
という所までは行きつきません。
また、アイデアとして
こう言う風にした方が良いのではないか?
と考える事もありませんよね
自分の家庭の将来設計については考えますが
お隣の家庭の将来設計なんて
考えたことないですよね?
例えば、2つ隣のお家が
自分の家庭と似たような家族構成だから
その家の将来設計を考えてみよう!
なんてこと、しませんよね。
それが一般的です。
基本的に人間は自分のことを考えます。
院長にとって、クリニックは
自分で開業し経営していくものです。
ずっと仕事をする自分の会社であり
とても大切なものです。
そのため、院長はクリニックと一心同体。
スタッフにとってもクリニックは
同じ存在と思っている院長がいます。
しかし、残念ながらスタッフは
そのようには思っていません。
スタッフは、自分には自分の人生があり
その人生の中で会社であるクリニックで
どうやっていくのか
と言うのが主体です。
そんな中で、クリニックの将来は
どうなっていくのか
どうしていけば良いのかを考える
スタッフもいるかもしれませんが
それは極々少数です。
これは、クリニックだからと
言うわけではありません。
大きな会社でも同じです。
色々な方とお話をする
機会がありますが
大企業に勤めていても
自分の所属している部署内のことや
自分の出世のことだけしか
考えていない人が多いです。
会社の将来のことや
会社の顧客のことについて
どうすれば良くなるのかなどを
真剣に考えている人は、あまりいません。
同様に、クリニック内で
クリニックのことを本当に考えてくれる人は
ほとんどいないので
反対に言えば
それを真剣に考えてくれる人を
大切にして下さい。
もし、そのような資質の人がいれば
院長がしっかりと
「それだけクリニックのことを
考えてくれてありがとう」
と伝えたり、目をかけて
感謝の気持ちを伝えましょう。
さらには、
「一緒に、こんなことをやっていかないか?」
と、資質のある人を引っ張りあげてみて下さい。
これを資質のない人にしても
時間の無駄になってしまいますので
まずは、資質があるのかを
しっかり見極めて判断するようにして下さい。
そして、せっかく貴重な存在である
資質のある人を見つけて
クリニックの問題抽出と問題解決
という仕事を任せていても
院長の行動次第で、そのスタッフが
辞めてしまう事もあります。
その行動とは
スタッフが行なってくれている仕事に対して
何の評価もしないことです。
問題を改善したり
解決したりしても
そのスタッフの給料は以前と一緒
待遇も何も変わらない。
スタッフの仕事のおかげで
クリニックは良くなり
院長にとっても、
良い結果となっても
スタッフ自身の人生は何も変わらない。
となれば、やる気がなくなっていくのは当然です。
その状態でいると、最悪の場合は
クリニックを辞職してしまいます。
そうならないためには
クリニックが良くなっていく都度
給料を上げる、休暇をあげるなど
方法はクリニックによって考えて
とにかく、そのスタッフに還元する事が
とても大事です。
このように、仕事の成果に対して
きちんと評価することで
スタッフのやる気も更に上がります。
そして、スタッフも院長と同じように
クリニックと一心同体という感覚を
持つようになってくれるかもしれません。
繰り返しになりますが
この資質がある人は、とても貴重です。
このようなスタッフがいれば
「自分だけの力で」と考えずに
スタッフと一緒になって
クリニックを作っていくと良いと思います。
だからと言って
行動を起こす前から
「これだけ出来たら
給料を上げてあげる」
と、お金で釣るようなことをしてしまうと
間違ったモチベーションに
なってしまうことになります。
また、成果がでた評価として
給料を上げすぎると言うのも
逆効果で、やる気を削いでしまう事も
あります。
ゆえに、成果を適正に評価するようにしましょう。
このように院長の右腕になる人材を
育てることが院長にとっても
クリニックにとっても
とても重要です。
最後になりますが
まずは作業をすることが出来る人を育てる。
次に、細い指示、管理を出来る人を育てる。
そして、計画を立てる人を育てる。
最終的には、問題抽出と問題解決
出来る人を育てる。
これで、院長の右腕を育てることが
出来ます。
第四段階をできる人材は
なかなかいないかもしれませんが
第三段階である「計画を立てる」を
出来る人材はたくさんいます。
したがって、まずはこのステップまでの
人材を育ててみて下さい。
それが出来れば、最終形である
「院長の右腕」を育てることを
目指してみると良いと思います。
ぜひ、院長の大変な部分を補って
くれるスタッフを育てて下さい。
そして、そのスタッフ自身の人生も
仕事を通して良くなるように
クリニックが良くなったら
その成果を還元して
院長とスタッフが一緒に良くなり
良くしていける環境を作れるように
して欲しいと思います。
伊勢海 信宏
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