今回は、スタッフ教育をする時に
2つの方法があることについて
お伝えしていきます。
これからお伝えする2つの教育方法は
やり方が全く異なります。
また、労力も成果も違います。
説明の前に、
全く違うものだと言う事を
認識した上で読み進めて下さい。
そこで、まずは2つの全く違う
教育方法のどちらで教育すれば良いのか?
を決めることが必要なのですが
あまり深く考えずに決めると
9割くらいの人が1つの方法を選び
残りの1割くらいの人しか
もう一方の方法を選びません。
では、この2つの方法とは
どんなものかと言うと
1つは、
「価値観」を軸にして教育していく方法
もう1つは、
「ルール」を軸として教育していく方法です。
そして、9割近くの人が
「ルール」を軸とした方法を選びます。
これは、9割の人が誰かに
「こっちが良い」と教えられたわけではなく
自然とこちらを選んでいます。
「ルール」を軸にすると言うのは
マニュアルが決まっていたり
すべき事や、やる事を
具体的に決めて物事を進めて行きます。
もう1つの「価値観」を軸とした教育は
何が大切なのか?
何をすべきなのか?
など、自分達の大切な事を共有し
その考えを、スタッフにきちんと浸透させます。
そして、浸透させた上で
物事を考え行動をします。
これは、「ルール」のように
やり方が決まっているわけではなくて
考え方だけが決まっていると言う事です。
「価値観」を軸とした方法では
「大切にすべきもの」に対する
共通の考え方を重視します。
この共通の考え方を大切にするためには
何をすべきかも考える必要があります。
これは、どちらかが優れている方法で
もう一方は劣っているのでダメ
と言うことはなく
どちらも正解です。
そして、どちらもメリットと
デメリットがあります。
ただ、「ルール」を軸とした
方法を選ぶ人の方が多いのは
やり易いからです。
例えば、患者さんを待合から
診察室に導入しユニットに座ってもらう
と言う行動の時に
全てマニュアルが決まっています。
どのようにカルテを持ち
どのように声掛けをするか等です。
このように細かい行動1つ1つが
決まっていると言うことです。
この方法のメリットは
ルールがきちんと決まっているため
それに従えば良いだけ
と言うところです。
新しいスタッフが
入ってきたとしても
そのルールを教えれば
良いだけなので簡単です。
要は、院長や上のスタッフが
ルールややる事を決めて
それを紙媒体にして伝えたり
教えたりしていけば良いです。
カリキュラムのようなものが
ある状態なので
そのカリキュラムさえ作ってしまえば
あとの教育と言う面では
比較的、楽に進めていけるでしょう。
ただ、これはマニュアルや
カリキュラム通りにするだけなので
根本底な
「なぜそれをするのか?」
と言う価値観が育たないため
こちらがマニュアルを
提示しなかったり
指導する事をストップしてしまうと
だいたいの場合が、
行動のクオリティが下がってしまいます。
このクオリティを下げないためには
永続的に院長や上のスタッフが
スタッフ達に指導していかなければなりません。
そして、チェックして
評価していく必要があります。
その評価を元に給与などに
反映させていきます。
つまりは、ルールを教え
その通りに動けるようになっても
定期的な指導は必要
さらにチェックと評価をします。
ルールから逸脱した行動を
しているようであれば
チェックの際に
それは評価され給与などにも
影響が出ると言う流れです。
チェックでは、
スタッフ一人一人の
出来ていない事を見て
その出来ていないルールに対して
出来るようになるように指導します。
この「ルール」を軸とした方法は
先ほども述べた通り
マニュアルやカリキュラムさえ
出来てしまえば簡単です。
教育する側も、
「この通りにしてね」
と教えれば良いですし
スタッフ側も書かれている通り
にすれば良く
覚えられていなかったり
出来ていなければ
チェックされ
評価されるので
どこが出来ていないかも明確です。
しかし、この方法の最大のデメリットは
スタッフのモチベーションが
上がらないと言う事です。
歯科医師の仕事におき換えてみましょう。
虫歯の治療にルールに基づいた
詳細なマニュアルがあるとします。
この位の大きさの虫歯の時は
この大きさを削って、この型取りをし
時間は何分で説明をし詰め物はこれ。
と全てが細かく決まっていたら
どうでしょう?
そして、このルールや
マニュアルから逸脱した
治療をしてしまうと
国や保健機関から
「マニュアル通り出来ていないから減点!
ここは、もう少しこのように
改善して下さい。」
と全ての行動を評価されて
ルール通りしないといけません。
このような方法が好きな人も
少数ではありますがいます。
しかし、ほとんどの人は
全てが決まりきってしまっていることは
苦痛だと感じます。
マニュアル通りに
することは簡単ですが
自分で考えて臨機応変に
対応することがないので
やり甲斐が感じられず
モチベーションが上がらない
と言う事が起こります。
これを、少しでも緩和するために
新たな取り組みをしていかないと
いけなくなります。
とは言え、ルールや
マニュアル通りにする方法は
比較的早く習得でき
成果も早く現れます。
では、価値観を軸にした方法は
どのようにしていくのかと言うと
まずはじめにスタッフに対して
「当院は、こういう事を大切にしているんだよ」
と言う話から入ります。
自院で大切にしている事を
まずは理解してもらい
次に
「是非、みんなにはこういう仕事が
出来るようにな人になってほしいんだ」
と仕事をする人のあるべき姿を
話します。
ここで、しっかりとスタッフと院長の
考え、価値観をすり合わせていきます。
ぴったりと言うのは
難しいと思いますが
ある程度の方向性を
合わせておきましょう。
その後で、例えば患者さんを
ユニットまで導入する流れについて
スタッフ皆で
「どういう風にすれば良いのか?」
を話し合い、考えてもらいます。
そして、その行動と
自院の大切にしていることを考えた時に
その行動には、自院の大切にしている事
価値観をすり合わせてみてどうか?
を考えます。
患者さんの導入の時の一連の行動は
自院の大切にしていること
価値観と合っているのか?
それを更にスタッフに考えさせます。
これが、価値観を軸とした教育方法です。
このデメリットは、結果が出るまでに
時間がかかることです。
なぜなら、スタッフ自身に考えさせるからです。
そして、それ以上の理由として
「気持ち」が関わってくるからです。
何が大切か?と言う所から入り
考え方、価値観と進み
そこからスタッフ自身が行動に
移せるようになるまで
考えさせるため時間を要します。
逆に「ルール」を軸とした方法では
何をすれば良いという行動指針が
決まっているので
ルールさえ覚えれば
行動に移していくのは
最初は大変でも慣れていくうちに
出来るようになります。
そう考えると、
やはり「ルール」を軸とした
方法の方が良いのかと
思われるかもしれません。
しかし、「価値観を軸とした方法」
には大きなメリットがあります。
それは、しっかりと教育できれば
ルール軸主体の教育よりも
大きな結果を生み出します。
その結果とは、とても自主的な
スタッフが育ったり
素晴らしい接遇をできるように
なったりします。
ルールは結果が出るのは早いですが
ある程度のところで成長がとまります。
どちらの方法も
メリットとデメリットがあります。
そして、どちらが良いのか
院長のタイプによって変わります。
または、クリニックが最終的には
患者さんにどのレベルのものを提供したいと
院長が求めているのかによっても違います。
例えば、「そこそこで良いよ」
と思うのであれば
ルールを軸とした方法が良いでしょう。
スタッフと何度もミーティングをしたり
「仕事」とは?なんて話をしたりするのは
面倒くさい。
とりあえず、給与を払って、
最低限の事をしてもらえれば良い
と言う考え方の方はこちらです。
逆に
「どんどん良いクリニックを目指したい」
と思うのであれば
価値観を軸とした方法です。
これを選ぶ方は
・ルールだけで仕事をするのは
楽しくない。
・どんどん良いクリニックを
目指したい。
・面白い事もやっていきたい。
・スタッフにも、自主的に
自分が良いなと思うことをして
その上でクリニックも
良くなっていくなら
それが一番良い仕事だと思う。
と言う風に考えるのであれば
価値観を軸とした教育を行って下さい。
よって、院長がスタッフに対して
また効果に対して
どこまで求めるのか?
が重要になります。
自分のクリニックは
「ルール」を軸にするのか
それとも「価値観」を軸にするのかを
よく考えてみて下さい。
もし、自分がどちらにしたら良いのか
よく分からないと言うのであれば
まずは、「ルール」を軸にした方法を
してみると良いと思います。
「価値観」を軸にした方法から始めるのは
少し難しいところがあります。
そして、院長のタイプやスキルも
影響してきます。
そのため、「よく分からない」
「大変そう」「自信がない」と思われるなら
ルールを軸に教育した方が良いかと思います。
今回お伝えした2つの教育方法は
全く違うやり方なので
ご自身の目的、目標、タイプを考えて
ぜひ実践してみて下さい。
伊勢海 信宏
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