今回は
『言った、言わない問題』の
対策についてお伝えします。
どこのクリニックもスタッフが
必ずいます。
そして、スタッフが1人以上いれば
起こってくるのが
「言った、言わない問題」です。
これは何かと言うと
院長とスタッフで話し合いをして
決めた事が、後になって
院長は言ったつもりの事を
スタッフは聞いていないと言うものです。
これが最も起こり易いのは
労働条件や仕事の内容についてです。
ゆえに、入社時にこれらを決めて
話し合って、入社後しばらく経ってから
スタッフが
「そんな事、言われていない」
と訴えだす事が多いです。
他にも途中で労働条件を
変えることになり
院長は
「給料とボーナスはこれ位で出します。
インセンティブも付けます。
とりあえずは1年間。」
と言ったはずが
スタッフ側は
「聞いていない」と言う事も
起こります。
この「言った言わない問題」は
人間関係を崩す
非常に大きな原因となります。
何故かと言うと
この問題になっている時点で
院長が実際には言っていたとしても
スタッフ側は言われていないのに
勝手に条件等を変更された
と思っている為
院長への信用が一気に無くなり
不満になるからです。
そして、この条件変更とは
スタッフにとって良い変更ではなく
悪く変更した場合です。
仮に、スタッフにとって
良い変更の場合に
「それ言われてないんで
それ結構です。」
と言う人はいません。
しかし、スタッフにとって
悪い条件に変更となる場合は
「こんなの聞いてないんですけど。」
「こんな悪くなるなんて言われてない」
とスタッフの不満が爆発します。
このように、相手(スタッフ)が
不利益だと感じる場合に
この問題は勃発します。
つまり、スタッフ側からすると
言われてないのに
「勝手に不利益な方向に
改悪されて、どういうことなの???」
と感じます。
この「言った言わない問題」が
起こった際に院長が
「いや、それ私は絶対に言ったから」
とスタッフの言っていない
と言う意見を押し切る事も出来ます。
ただ、押し切ったところで
スタッフの気持ちが
「わかりました。」と
素直に受け入れてくれるかというと
そんな事はありません。
まず、スタッフが
「そんなの聞いてないんですけど」
と不満を持った時点で
院長とスタッフの信頼関係は
少し崩れてきています。
そして、それを押し切った
状態になると
更に信頼関係は崩れ
スタッフの不満も更に募ります。
院長からすると
「実際に言ったんだから
仕方ないでしょ。
あなた達が、きちんと聞いていないだけ」
と思って言っても
当然ながら信頼関係は
元には戻りませんし
スタッフが不満に感じている
気持ちも治りません。
こうなってしまわない為にも
全ては無理としても
「言った言わない問題」は
出来るだけ減らす事が大切です。
では、どのように減らしたら良いのか?
ここからのお話は、
院長が実際には、きちんとスタッフに
言っていると言うのが前提です。
院長は言っている。
でもスタッフは聞いていないと言う場合に
いくら、その時に院長が
言ったと言う事を詳しく説明しても
既に「聞いていない」と言う
認識なので
問題はゼロにはなりません。
それを回避する為に
クリニックで行って欲しい
クリニックにおいて重要なことがあります。
それは、同意のサインです。
入社時に雇用契約などに
同意のサインを書いてもらうのは
勿論ですが
それはあくまで法的な部分です。
それ以外に重要な項目があれば
一覧にして、それをしっかりと
読んでもらって
その項目の内容についても
「理解した」と言うサインをもらいましょう。
つまり、院長が雇用契約書以外に
自院オリジナルで
自院ではこう言うことをしてほしい
と言うものを箇条書きにした物を
作成して下さい。
さすがに、これが100項目もあれば
スタッフも疲れてしまいますが
20項目くらいまでであれば
スタッフも疲れませんので大丈夫です。
仮に、内容が10項目あったとすれば
必ず箇条書きにして一覧にして下さい。
文章にしてしまい
1つ1つが長くなってしまうと
読み難く理解し難い上に疲れます。
そして、箇条書きにした一覧を
入社時や、取り決めをした際に
1つずつ項目について
院長が説明をしながら読んでいきます。
その後、スタッフにも
全ての項目を再度読んでもらいます。
10項目くらいであれば
説明の後なら読むのには
1項目1分もかかりません。
30秒で読めば10項目あっても
5分ほどで読み終える事が出来ます。
そして、スタッフが読み終えた後に
質問はないかを聞いて
理解していることを確認します。
確認が出来れば、本人に同意を得て
内容を確認し理解し承諾したと言う事で
日付とサインを書いてもらいます。
これを行うことで
後から「言った言わない問題」が
起きてしまった時に
スタッフに「それ、聞いてません」と
もし言われても
その同意書を見せることが出来ます。
これは、スタッフの逃げ道をなくして
追い詰めているわけではありません。
これを見せる事により
スタッフ自身が
本当に忘れてしまっていても
「確かに私がサインしているし
聞いていたんだな」
と納得する事が出来ます。
そして、そこに対しての
「言った言わない問題」は
解消されていきます。
只、自分が忘れていただけなのかと
自認する事が出来たからと言って
不満がゼロになるわけではありません。
もしかすると、サインを
書いてはいるけど
「覚えていない」
「きちんと説明を受けていない」
と言って、不満を言うスタッフも
いるかもしれません。
しかし、きちんと紙に
必要な説明と条件を箇条書きにし
それを読んで同意したと言う
本人のサインがあってまで
そのような事を言う人は
かなり少ないと思います。
もし、言ったとしても
事実として、
本人のサインもあるわけですので
それ以上の「言った言わない」問題
にはなりません。
全ての項目について
このような同意書を作って
サインをしてもらうと言うのは
無理がありますが
重要な部分については
是非、紙にして説明をし
同意のサインをしてもらう
と言う事をお勧めします。
ここで気をつけなくてはいけない事は
いくらスタッフの同意のサインが
あったとしても
それに書かれている内容が
法を無視したような内容であれば
スタッフの同意があっても
無効になります。
したがって、
院長として出す条件も
当然ながら法的に
問題のない事でないといけない事を
理解して下さい。
決して、サインをもらえたから
何でもアリと言うことではありません。
例えば、一般常識の中で
こう言う事をして欲しい
と言うような内容を項目として
挙げれば良いかと思います。
前述しましたが
もし給与を上げる、報酬を出す
などが決まった際には
それを一年間だけするなど
期間の条件がついているならば
それも決まり次第
書面にしておく必要があります。
それをしないと、スタッフは
口頭だけでは
給料アップや報酬がずっと続くと
勘違いしてしまい
「ずっとだと思ってたのに
違うんですか!?』
となってしまいます。
したがって、期間や金額については
しっかりと同意書などで紙面に残して
スタッフに理解してもらい
同意のサインをもらうようにしましょう。
既に、確実な信頼関係が
院長とスタッフに間に
出来上がっているなら
これらも不要かもしれませんが
なかなか、そこまでの
信頼関係を全スタッフと
築き上げる事は難しいと思います。
特にお金の問題が
一番トラブルになってしまいますので
気をつけて下さい。
伊勢海 信宏
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