患者さんが不安になる行動 その① 〜物を落としてしまったとき〜

治療中に物を落としてしまった時の

行動ひとつで、患者さんに不信感を持たれてしまうかもしれません。

 

 

 

 

診療中など、患者さんが近くにいる状態で

スタッフや先生が何か物を落としてしまうことってありますよね。

 

 

 

そんな時、スタッフや先生は

どんな行動・対応をとっているでしょうか?

 

 

 

この行動や対応1つで、患者さんが

クリニックに対して持つ印象が

大きく変わってしまいます。

 

 

 

 

物を落としてしまった時の行動は

 

・それが診療と関係のないものであれば元に戻す。

 

 

・口腔内に入れるものではなく

 アルコールワッテで拭くだけで良ければ

 拭いて元に戻す。

 

 

 

もし、先生のクリニックでも

このような行動をとっているなら

いますぐ変えましょう。

 

 

 

スタッフや先生からすると、

治療と全く関係のないものが落ちてしまっても

 

「一体何が落ちたのか?」

「治療に使うものなのか?」は一目瞭然です。

 

 

 

そのため、治療に関係のないものであれば

「失礼しました。」の一言で終わらせてしまいがちです。

 

 

 

しかし、これを患者さんの立場で考えると、どうでしょうか?

 

 

 

ガチャンと音がして、先生とスタッフの

「失礼しました。」の一言。

 

 

そのあと、すぐに自分の口の中に

何か器具が入れられる……

 

 

 

「これって、さっき何か落としたやつじゃないの?

 え?落とした物を口に入れられてる!?」

 

 

と、とても不安な気持ちになります。

 

 

 

実際には、落とした物は治療に関係ないもので

患者さんの口腔内に入れた物では当然ありません。

 

 

でも、それが何か見えていない

患者さんにとっては、自分の治療に使う何かだと

想像してしまいます。

 

 

 

もし、自分が治療を受ける側だとしても

落としたかもしれない器具で治療されるなんて

絶対に嫌ですよね。

 

 

 

そして、そのクリニックに対して

一気に不信感がつのることでしょう。

 

 

 

したがって、自分のクリニックでは

患者さんに不安や不信感を持たれないように

物を落としてしまった時にすべき行動・対応があります。

 

 

 

  • 治療に使うか使わないか関係なく

何を落としてしまっても「交換します」と声を掛ける

 

 

何を落としてしまったか分からない患者さんも

新しい綺麗なものに交換してくると分かれば

安心することができます。

 

 

 

スタッフは患者さんにも聞こえるように

先生に声かけをしましょう。

 

 

もし、すぐ使わない物であれば

本当に交換はせずに治療と関係のない場所に

避けて置いておくだけでも良いです。

 

 

 

その際も、患者さんに伝わるように

「交換します」の一言は忘れないようにしましょう。

 

 

 

  • 治療に全く関係ない物であれば拾わずに放置する

「使わないから、後で拾って」の一言を。

 

 

スタッフは、何か落としてしまったら

すぐに拾ってくれようとしがちです。

 

 

しかし、それが治療に関係なく必要のない物なら

治療が終わるまでは、拾わずに放置しましょう。

 

 

例えば、ボールペンなど

今使わなくて良いなら放置してください。

 

 

なぜなら、落とした物を拾う時に

多くの人はグローブを着けたままです。

 

 

 

落とした物を拾ったグローブで

治療に関わられるのは不潔に感じられます。

 

 

 

仮に、ボールペンを落としてしまって

それをグローブで拾い

「グローブを交換します」と一言掛けて

交換するなら不潔ではありません。

 

 

 

しかし、今必要のないボールペンを拾うために

そこまでするならば、放置しておいて

治療終了後に拾う方が良いでしょう。

 

 

 

そして、ここでも忘れずに先生は

患者さんにも伝わるように

 

「使わないので、後で拾ってください」

 

の一言をスタッフに掛けるようにしましょう。

 

 

 

これで、患者さんにも落としたものは

治療とは関係なく、落とした物を自分の治療に

使われることはないと分かります。

 

 

 

  • 補綴物など、交換できないものなら

「洗浄・消毒してきます。」の一言を。

 

 

インレーやクラウンなど補綴物を

研磨している時に落としてしまうこともありますよね。

 

 

そんな時は交換できるものではないので

「交換します」は通用しません。

 

 

 

交換できないものを落としてしまった時には

「洗浄・消毒してきます」と言って

洗浄・消毒をしに行きましょう。

 

 

この一言を聞くだけでも患者さんは

「このクリニックは落としてしまっても、

きちんと消毒して清潔にしてくれているんだ」

と感じることができます。

 

 

 

 

逆を言えば、どれだけきちんと消毒していても

患者さんに伝わるように声を掛けていないと

患者さんには清潔なのか不潔なのかが分かりません。

 

 

 

治療はただでさえ、患者さんが不安や不信感を

抱きやすい状態です。

 

 

そのため、患者さんは「不潔にされたまま」

と言う感情に傾きやすいでしょう。

 

 

そうなってしまわないためにも

物を落としてしまったら、患者さんに安心して

治療を受けてもらえるように心がける必要があります。

 

 

それには、先生とスタッフ間の声掛けを

患者さんにも伝わるようにしっかりとすることが大切です。

 

 

 

 

治療は患者さんの顔の近くでしています。

 

また、フェイスカバーを掛けていたりすると

余計に聴覚が働いて、小さな音でも気になります。

 

 

 

何かが落ちた音は、こちらが感じるよりも

敏感に聴き取っていることも。

 

 

物を落とした時の対応ひとつで患者さんからの

信用が上がるか下がるか大きく変わります。

 

 

 

もし、これまで今回お伝えしたような

行動・対応をしていなければ

是非、改善してみてください。

 

伊勢海 信宏

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