患者さんの口腔内の将来を
患者さんに真剣にお話
していますか?
初診で来られた患者さんの
口腔内をチェックして
びっくり。
ひどい状態・・・
なんて事、よくありますよね。
または、通院されている患者さん
でも、虫歯の治療には通院するけれど
「歯周病も進行しているから
次回から歯周病の治療を
していきましょう」
と伝えた途端、来なくなって
しまう患者さん。
そして、また詰め物が外れたりした
時に、通院を始める。
前者のような患者さんの場合は
初診だし、初めからいろいろな事
を伝えすぎて、不安を煽って
しまったり、グイグイ来すぎる先生
だと引かれてしまって、次から来院
されなくなってしまっても困るので
初診時に、口腔内の状況を全て
お話することは、難しいものが
あります。
また、後者のような患者さんの場合は
過去には一度、軽く説明しようと
したけど、あまり患者さんが話を
聞きたくなさそうな空気を出した為に
患者さん自身の口腔内の深刻な現状と
そのままでいることのリスクなどを
本人にきちんと伝えられないままに
治療を進めて終えてしまうと言う事
もあります。
説明をしようとすると
露骨にスルーしようとされると
その後は、こちらも何度も言うのも
気が引けるし、説明しても患者さん
自身が治したいと言う意識に変化
しないなら、説明をするのも
もう良いか…となってしまいます
よね。
しかし、まずはこれを忘れ無いで
下さい。
患者さんは、歯のことについて
詳しく無いと言うこと。
それは、私たち歯科医が当然だと
思っていることも含めて
一般的だと思ってしまっている
歯科知識もです。
ですので、当然
自分の歯が将来どうなるのか。
どんなリスクがあるのかを
患者さんは知らないのです。
知っていて、分かっていて
放置するのは個人の意思ですので
仕方ありません。
しかし、知らないが故に
手遅れになってしまうのは
避けなければなりません。
だからこそ、何か問題があれば
真剣に患者さんに口腔内の将来
の事をお伝えする事が大切です。
患者さんから、こんな言葉って
聞いた事ありませんか?
『こんな事なら、もっと昔から
歯を大切にすれば良かった。』
歯周病が進行していたりして
歯をドンドン失った方などが
お話されるケースが多くあります。
歯医者的には
『しっかり定期健診や歯ブラシを
してないからだよ。』
と思う人もいるかもしれません。
たしかに、
患者さんが歯ブラシをサボっていたり
定期検診を受けてない事が
原因なのもあります。
でも考えて頂きたいのは
そんな風に話されている患者さんも
例えば15年位前は
歯がしっかりしていたはずです。
何が言いたいか、
何が問題なのかと言うと
その、まだ歯が残っている状態の時に
定期検診やプラークコントロールの
重要性を
歯医者がしっかり伝えきれて
いなかったのでは?
と私は思ってしまうと言う事です。
もし、まだまだ健康な口腔内の時に
きちんと説明し、患者さんが
理解していたら15年後の今
こんな風に歯周病で歯を失っては
いなかったのではないでしょうか?
すでに歯を失って、もうこれ以上
歯を失くしたくないと思っている人に
定期検診や歯の大切さを伝えるのは
簡単です。
それは、
「ほら、定期検診しっかりして
こなかったから、こんなことに
なっちゃったんだよ〜。」
「歯を失ってくると、大変でしょ?
歯がとても大切なものだって
失って気づけましたね。」
不安を煽ることにもなります。
もちろん、少しでも関心を持って
患者さん自身が一番聞く耳を
持っている時にお話できると
理解度も違います。
身をもって実感しているから
です。
そのため、そのタイミングであれば
それ以上に悪化しないために
定期検診や治療・歯の大切さを
伝えることも大事なことだと
思います。
しかし、それだけではなく、
歯がまだ残っていて
今はまだ問題が大きくない人に
今まで通りの生活を続けると
将来、どうなってしまうかを
お伝えすることの方が
とても重大な役割だと思います。
患者さんのタイプは様々です。
多くの人は、今まで健康な状態で
少しの虫歯ができたり
たまに歯肉炎を起こしたりする
程度。
歯が痛くなったり
たまに気が向いた時に歯石除去など
のクリーニングに来院すると
言うタイプでしょう。
一方、少数派ではありますが
歯科治療が大嫌いで
治療に通院するくらいなら
歯が抜けてしまっても良いと言う人
歯の治療にお金をかけたくないと
言う人
若くして、虫歯などを放置してきた
せいで20代でも口腔内がボロボロ。
しかし、その状態に慣れてしまって
いるため歯を失う事への不安がない人
などなど・・・
いろんなタイプの人がいます。
こう言った人たちは、説明をしても
聞く耳を持たれないことが多いです。
また、説明して一度は
「そんな状態なら、
真面目に通院しよう!」
と思っても、
結局その気持ちは長続きせず
中断患者さんになってしまうと
言うのも少なくありません。
しかし、誰がそうなってしまう人で
誰が、本当に自分の口腔内の将来
そして
今後起こり得るリスクを理解し
通院しようと決意したかは
分かりません。
患者さんのことを思って
説明したのにも関わらず
それが相手に響かず通院されなくなる
と、歯科医としては凹みますよね。
しかし、それでも患者さんに
今だけでなく将来の口腔内のこと
リスクを伝えるのは、歯科医として
とっても大事な仕事です。
一部の患者さんにしか伝わらない
かもしれません。
しかし、何も話していなければ
その一部の人たちも将来的には
悲惨な口腔内になっているかも
しれません。
説明しても、聞いていない。
困った時にだけ、泣きつかれても…
と思うかもしれませんが
自分も専門分野以外のことでは
同じかもしれません。
例えば、車。
車は、数年に一度の車検が
義務付けられています。
なので、もしその時に不具合があれば
教えてもらえますし、修理したり
しますよね。
しかし、もし車検という制度が
なければ、どうでしょうか?
車が好きな人なら、自分で点検を
したり、自発的にメンテナンスに
行ったりするでしょう。
そして、少しの不調にも気づけます。
しかし、車は必要だけど、
車好きというわけではない人の
場合は?
車検が義務付けられていなければ
余程の不具合が発生した時しか
点検や修理はしません。
しかし、車で不具合に気づくほどの
事態が起こった時には
大事故になっているかもしれません。
そして、その時には
「こんなことになると分かっていたら
ちゃんと定期的にメンテナンスを
受ければ良かった。」
と思うことでしょう。
しかし、これも車を購入する際に
販売員の人が、きちんと将来のリスク
などを、しっかり説明してくれて
いたら自発的に定期点検を
受けていたでしょう。
車の販売員は、車の専門家です。
お客さんは車好きの人でなければ
車のことは詳しくありません。
ピカピカの新車を見て、購入した
時点で、それが数年後にはタイヤが
消耗し部品は劣化し大事故を
引き起こす故障に繋がるなんて想像も
しませんよね。
歯科医と患者さんも同じです。
歯科医からしたら、リスクも将来も
見えています。
しかし、患者さんは今毎日鏡で
見ている健康な自分の歯しか
知りません。
それが、十数年後にどんどん
抜け落ち出すなんてこと
誰も想像できません。
テレビで「歯周病」とCMを見ても
今が健康であれば、それは自分とは
無縁なことだと思うでしょう。
多くの人の口腔内を見てきて
過去には同じように健康に見えた
口腔内が歳とともに歯を失って
いくという事実を
患者さんにも、無縁なものでは
ないと言うことを伝えましょう。
大事なのは、まだ間に合う現段階で
いかに将来の口腔内の事を
しっかりお伝えして患者さんの
行動変容出来るかです。
患者さんの歯を長く残す為にも
しっかり将来の歯の事を
お伝えして行きましょう。
伊勢海 信宏
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