自費治療を受けるか?
受けないか?
それは患者さんの持つ価値観の
影響が大きいと前回お話しました。
『患者さんはなぜ自費治療を
受けるのか?
(歯科研修医でも大切)』
(http://haisyakaigyo.com/?p=390)
しかし、価値観より前に
まず多くの患者さんの
歯科に対する認識が
自費治療を受けるか受けないか?
を左右してきます。
その認識と言うのは
歯科治療は保険適応のもの
だと思っていると言うことです。
それを物語るように
全国平均の自費売上率は10%程度です。
これを多いと思うか
少ないと思うかは
人によって違うと思いますが
歯科に対する認識が世間的に見て
自費治療が当然と言う認識ならば
自費売上率は
もっと高いはずですよね。
例えば、美容整形外科の
自費売上率は相当高いと思います。
と言うか、自費売上率が
100%なんじゃないの?
と思いますよね。
世間の人も同様に認識していて
美容整形外科のイメージと言えば
全てが自費治療、もしくは稀に
保険適用になる治療があると言う感じでしょう。
もちろん歯科と美容整形外科は
別物ですので
同じように考えることはできませんが
もし歯科も世間からの認識が
「自費治療が当然」
とされている状態であったとしたら
自費売上率はもっと高いものになるでしょう。
では、自費売上率が10%なのは
認識のためなので
仕方のないことなのかと言うと
決してそうではありません。
なぜかと言うと、
同じ歯科でも
中には自費率が40%や50%を
占めているというクリニックもあるからです。
さらに上を行き、
自費率が70%以上もあるような
クリニックも存在します。
これは、マーケティング的な要素が
すごく多くなるか、
あるいは
院長がカリスマ的なタイプの人です。
これは、少し稀なケースでは
あります。
しかし、同じ地域で
歯科医院をやっていても
自費率10%と50%のクリニックが
混在している事は、よくあります。
これは一体、なぜでしょうか?
同じ地域の患者さんなので
どのクリニックにも同じ様な層の
患者さんがいらっしゃるはずです。
全く違う地域のクリニックであれば
地域性が理由と言うことも
出来るかもしれません。
実際、富裕層ばかりが
住んでいるところもあれば
一般的な家計の人ばかり
住んでいる地域もあります。
それに、年齢層的にも
お年寄りの人ばかりの地域もあれば
若い人ばかりの地域や
ファミリー層ばかりの地域もありますよね。
ここで、一つデータをお伝えします。
これは歯科のデータではありませんが
お店に来た時のお客さんの
購買意欲がどの程度あるのか?
と言うデータです。
来店のお客さんの
20% → 絶対に買う
20% → 簡単に買う
20% → 迷う
20% → かなり迷う
20% → 絶対に買わない
これは歯科の話ではありませんが
データを見ると
絶対に買う人から
かなり迷う人も含めれば
全体の80%の人は
買う可能性を秘めています。
そして20%の人は
絶対に買わないのです。
そもそも、歯科は保険治療のみで
自費治療を行っていない歯科医院も
当然あります。
そのため、この保険治療のみを
行う歯科医院も含めての
自費売上率が、全国平均的に
10%なのだと思います。
それにしても
50%の自費率を上げられるクリニックと
そうでないクリニックの差が
一体どこにあるのか?
と気になりますよね。
その答えは
先ほどのデータにあります。
自費治療の患者さんが多くいる先生は
上記の
「簡単に買う・迷う・かなり迷う」
このゾーンの患者さんが
自費治療を受けたいと思ってくれています。
あとは、いかにこのゾーンの
患者さんの気持ちを
実際に自費治療を行うところまで
持っていくかです。
ここで、患者さんの気持ちを
自ら、自費治療を希望されるレベルまで
上手に持っていくことが
出来ている先生が
自費率50%にすることが出来ます。
逆に、自費治療に興味があって
受けたいと思っている患者さんの
気持ちを上手く汲み取れない先生は
自費率10%で止まってしまいます。
せっかく、患者さんの背中を押せば
簡単に自費治療を希望されるという状態なのに
それさえも踏みとどまらせてしまう
可能性さえあります。
こう言ってしまうと
クリニックの売上を上げるために
どんどん自費を勧めるように
聞こえるかもしれませんが
これは売上云々ではなく
患者さんにとっても
とても可哀想なことをしてしまって
いると思います。
例えば、自費治療のメリットを
知っている患者さんであれば、まだしも
保険治療しか知らない
患者さんならば
どうでしょうか?
保険適応のものが悪いわけでは
ありませんが
症例によっては確実に
自費治療の方が良いこともありますよね。
または、審美的なことを気にされる
ような患者さんで
保険治療しか
知らない人だったら。
どちらにしても
自費治療を知らないから
希望しないだけで
きちんとメリットとデメリットを
説明することで患者さんから
自費治療を望まれることも
多いのです。
しかし、先ほどのように
背中を押すことをしないばかりに
患者さんは
「希望ではないけど、
こういう術しかないのだ・・」
と諦めた気持ちで保険治療を受けて
いることもあります。
これは、患者さんにとって
とても可哀想なことだと
思いませんか?
だからと言って
声を大にして言いますが
押し売りは止めた方が良いです。
なんでもかんでも、押し売りして
治療を受けてもらうことは
とてもナンセンスです。
そんなことをしていると
歯科医師としての気持ちも
辛くなりますし
患者さんからの評判も悪くなります。
良いこと無しですよね・・・
そして、さまざまなクリニックを
見てきましたが
自費治療が多い先生のほとんどは
押し売りをしません。
逆に自費治療が少ない先生ほど
押し売りが多くなります。
こんな経験はないでしょうか?
自分が美容院に行った時のことを
考えてみて下さい。
美容師さんにシャンプーや
ヘアセットをしてもらっている時に
そこで使用されているシャンプーや
スタイリング剤がなかなか良いなと
思っていたとします。
そこで、上手な美容師さんであれば
使い方や良い成分
その商品の良い点をサラっと
簡単に説明する程度。
こちらが質問すれば
なんでも答えてくれます。
それに引き換え、
押し売りをしてくる美容師さんは
最初から最後まで商品を
勧めてきます。
その上、
「この商品じゃないと
この髪型にはなりませんよ」
とまで言ってきます。
前者であれば
「良かったし買いたいな」
と思いますが
後者なら、良いと思っていて
興味も持っていた商品にも関わらず
この美容師さんの
押し売りのせいで
「私のことを考えているんじゃなくて
ただ、売上を上げたいだけだな!」
と思って、
買う気が無くなりますよね。
要は、どれだけ患者さんのことを
考えているのか。
これが、カウンスでは伝わります。
売上だけを考えての押し売りは
患者さんにもすぐ伝わります。
患者さんの立場、状況を考え
患者さんに最適で最良の治療を
カウンスすれば自ずと
自費治療の患者さんも増えます。
伊勢海 信宏
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