歯科医という職業をしているならば
日々の治療を通して患者さんと
接していますよね。
「性格がシャイだから・・・」
とか
「話すのは苦手だから」
と言って患者さんと
一切コミュニケーションを取らずに
治療を行うことは、
ほぼ無理だろうと思います。
確かに患者さんと、よく喋ったり
話が盛り上がるドクターもいれば
逆に必要最低限の会話だけで
済ませるドクターもいます。
これには、個人差がありますが
終始無言で診療を終えるドクターは
いないでしょう。
今回のお話は、
この「コミュニケーション」についてですが
「お話が上手で
ずっと他愛無い話ができると良い」
と言った単純なものではありません。
また、そんなにペラペラと
喋れなくても
それはそこまで問題では
ありません。
では、早速ですが質問です。
診療で患者さんと接した時、
お話をした時などに、
患者さんの感情を読み取ろう
と思って接していますか?
なぜこんな質問をするかと言うと
患者さんとのコミュニケーションを
とる事を得意だと感じているドクターでも
実際は会話の表層だけでの
コミュニケーションで
「自分は出来ている!
患者さんの気持ちを理解している!」
と思ってしまっている人が
多いのです。
ゆえに、自分でも
患者さんの気持ちを理解できているのか?
患者さんの、
本当に訴えたい事や不安などを
くみ取れているのかを
今一度確認してみて下さい。
もし、 感情の読み取りが
全然できないと
患者さんからの評価は上がりづらいです。
歯科医院は、美味しい料理を
提供してくれる飲食店でも
楽しい娯楽を提供してくれる
テーマパークでもありません。
それらとは、真逆の
「出来れば行きたくない場所」
であり
「楽しくない場所」です。
これは、何も歯科医院に限らず
病院と呼ばれるものは
すべてが、そうでしょう。
もし、これが飲食店や
テーマパークであれば
こちらの気持ちを汲んでくれない
と感じる事が少しくらいあっても
料理が美味しかったり
アトラクションが楽しければ
その部分でカバーされます。
評価するお客さんも、
良かった・楽しかった
と思う気持ちの方が勝って
周りの人にも
「あの店美味しかったよ」
「あそこ、とても楽しかったから
今度行ってみて」
と良い口コミをするでしょう。
余程、良くない点が多すぎなければ
自然と良い評価が広まっていきます。
しかし、歯科医院や病院は違います。
少しの良くない点をクローズアップ
して捉えられてしまいます。
それをカバーする楽しいものが
ないので、仕方ない事かもしれません。
だからこそ、少しでも患者さんが
「嫌だな」「怖いな」
と思うことをなくしていかなければ
なりません。
麻酔が痛いとか
削られる時に痛いとか
そう言った直接的な原因は勿論
できる限り、そう感じさせない
ようにしないといけません。
しかし、それよりも患者さんの
気持ちを会話から汲み取れているのか?
表情や仕草から
読み取れているのかが
とても大事です。
治療では、どうしても痛みを
伴うこともあるでしょう。
しかし、それをカバーできるのも
この「読み取れること」です。
痛いと思っているけど、
それを訴えて来ない患者さんに
「少し痛みがありますが、
大丈夫ですか?」
などと、親身になって
お声がけする事で
患者さんは自分のことを
しっかり診てくれているんだと
安心感を覚えるでしょう。
行きたくない、痛い怖い場所でも
その状況を理解して、
安心させてくれる人がいれば
それだけで随分気持ちが楽になります。
そして、それは行きたくない場所の
イメージの歯科医院に対して
良いイメージになるので、
患者さんの中で評価が上がります。
そして、もう一つ。
それは治療を患者さんの
都合や気持ちも考えずに
ただ医院側のペースで
すべて進めてしまうと
患者さんからの信頼を得ることは
難しいでしょう。
患者さんは人間です。
ゆえに、いろいろな考えや感情が
その日その日、その時々で違います。
少しの表情の変化
言葉の強弱
体の動かし方などで
どんな事を感じているのかを
予測して対応する事が重要です。
簡単なところでは以下のような事
があります。
- ・顔がこわばっていれば
- 緊張しているかもしれないので
- 優しく声掛けをする
- ・時間がなさそうであれば
- 何時まで時間が大丈夫なのかを聞き
- 多少話を短くしたり
- 要点だけをまとめて伝えるようにする。
・治療中に体動があれば
お痛みがないか確認する。
- ・何か言いたそうな感じや
- 疑問を感じていそうであれば
相手が質問し易いように物腰を
柔らかい口調で
「ご質問などありますか?」
などと聞く
・説明していても
理解できていなさそうな表情が
少し見てとれたら
その部分の話を絵に描いたりして
分かり易いよう詳しく話す。
ただ患者さんの感情や気持ちを
読んだからと言って
必ずそれに対してこちらが
すべて反応しないといけない
と言うわけではありません。
本当に必要な時に
しっかりフォローできる事が大事です。
ただまったく感情や気持ちを読んでいないと
患者さんは自分を大切に
してくれてないと思ってしまうので
まずは細かい動きや言葉で何を
感じているのかを
想像する訓練をすると良いでしょう。
気持ちを読んだ上で
お声がけをする必要がない
シーンだからとお声がけしないのと
そもそも気持ちを
読み取れてもいなくて
お声がけ出来ないのでは
同じ「お声がけしない」でも
全く違います。
患者さんのことをしっかり見て
心配・不安・緊張などを少しでも
軽減できるようにしましょう。
伊勢海 信宏
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